【重要】すでに医師から糖尿病と診断されている方、特に薬物療法を受けている方は、必ず主治医の指示に従って運動を行ってください。薬の種類によっては運動中に低血糖を起こすことがあります。この記事は予防や健診の数値が気になる段階の方に向けた一般的な情報です。
前回は、糖尿病予防のための
食事についてお伝えしました。
食事と並んで欠かせないのが
運動です。今回はなぜ運動が効くのか、そしてどう取り組めばよいのかを、トレーナーの視点からお話しします。
なぜ運動が血糖値に効くのか
鍵を握るのは、血糖値を下げる働きをもつ
インスリンというホルモンです。
インスリンは血液中の糖を全身の細胞へ運び込みます。このとき、糖を受け取る先には偏りがあります。
・
筋肉
・肝臓、脳
・脂肪
実は
インスリンが働いているときのブドウ糖の処理のうち、およそ80%を骨格筋が担っています。筋肉は体重の40〜50%を占めるため、食後の糖の行き先として最も大きな存在なのです。
そしてこの3つのうち、
私たちが意識的に動かして消費を増やせるのは筋肉だけです。
運動で筋肉に刺激を与えれば、血液中の余分な糖が効率よく処理されます。逆に言えば、
筋肉が減ると糖の行き場そのものが減ってしまうということです。
筋肉と糖の関係は
筋トレは血糖値対策に役立つ?筋肉と糖の関係を解説で詳しく解説しています。
40代以降の女性に、特に運動が必要な理由
前回の食事編でもお伝えしましたが、大切なことなので繰り返します。
女性ホルモンの
エストロゲンには、血糖値の上昇を抑え、インスリンの効きを高める働きがあります。更年期にこれが減ると、
インスリンが効きづらくなり、血糖値が上がりやすくなります。
つまりこの年代は、
体の側の条件が不利になっているということです。
そこに加えて、何もしなければ筋肉は年々自然に減っていきます。糖の処理を担う筋肉が減り、インスリンも効きづらくなる。
この2つが同時に進むのが40代以降です。
だからこそ、
運動で筋肉を守ることの意味が、若い頃より大きくなります。
更年期世代の運動については
更年期世代の体づくり|健康診断の数値改善に役立つ運動習慣とはもご覧ください。
筋トレでできること
適切な負荷をかける
筋力トレーニングには、次のような働きがあります。
・筋肉量が増え、日常生活での消費エネルギーが底上げされる
・
インスリンの効きが改善する
・骨への刺激になり、骨密度の低下を防ぐことにもつながる
血糖値だけでなく、
骨粗しょう症の予防にも同時に働きかけられるのが筋トレの利点です。40代以降の女性にとっては、この点も見逃せません。
ただし、いきなり重い負荷をかけると怪我のもとになります。まずはご自身の体力に合わせた
「心地よく疲れる程度」から始めてください。
有酸素運動でできること
ウォーキングやジョギングなどの
有酸素運動には、別の働きがあります。
・運動中に糖と脂肪をエネルギーとして使う
・心肺機能を高める
・脂肪の減少につながる
血糖値を「その場で下げる」という点では、有酸素運動のほうが即効性があります。
組み合わせるのが最も効果的です
「どちらをやればいいですか」とよく聞かれます。
答えは
「両方」です。
・
筋トレ:糖の受け皿である筋肉を増やし、インスリンの効きを改善する
・
有酸素運動:その場で糖を消費する
この2つを組み合わせることで、血糖コントロールの効果がさらに高まることが複数の研究で示されています。片方だけより、両方を取り入れたほうが確実です。
両者の違いは
有酸素運動と無酸素運動の違い|効果的な取り入れ方を解説で解説しています。
いつ動くとよいか
血糖値は
食後に上がります。ですから、そのタイミングに合わせて体を動かすのが効率的です。
目安は
食後15分〜1時間の間です。この時間帯に軽く動くことで、食後の血糖値の上がり方をゆるやかにしやすくなります。
「食べてすぐ動くのは体に悪いのでは」と思われるかもしれませんが、
激しい運動でなければ問題ありません。散歩程度の軽い動きで十分です。
「たった数分」でも意味があります
ここが、最もお伝えしたいことです。
「運動といっても、まとまった時間なんて取れない」
そう感じておられる方は多いと思います。けれど
食後わずか2〜5分の軽い動きでも、血糖の管理を改善する効果が得られるという報告があります。
・食器を片づけながら立って動く
・食後に少し家の中を歩く
・座りっぱなしにならず、いったん立ち上がる
「30分歩かなければ意味がない」わけではありません。この事実を知っているかどうかで、行動のハードルは大きく変わります。
まとまった時間が取れないときは、
階段を使う、少し大股で歩くといった日常の工夫だけでも、筋肉への刺激は変わってきます。
どのくらいの頻度で続けるか
■ 有酸素運動
糖尿病の診療ガイドラインでは
週150分以上が推奨されています。1日30分を週5回、あるいは1日20分強を毎日、という計算になります。
「週150分」と聞くと多く感じますが、
10分ずつに分けても構いません。まとめて確保する必要はありません。
■ 筋トレ
週2回が一つの目安です。研究では
週1回より週2回のほうが効果が大きいとされていますが、まずは
週1回から始めて習慣にすることを優先してください。
頻度の考え方は
筋トレは毎日やるべき?40代からの適切な頻度と休息の考え方で詳しく解説しています。
安全に始めるために
これまで運動習慣がなかった方は、
急に激しい動きをしないでください。
・ラジオ体操などの動的ストレッチで体をほぐしてから始める
・軽いゴムチューブを使うなど、負荷の小さいものから慣らしていく
・痛みが出たら中止する
また
糖尿病は高血圧を併発しているケースも多く、血圧に配慮した負荷の設定が重要になります。息を止めて力むと血圧が上がりやすいため、この点は特に注意が必要です。
健診で「適度な運動を」と言われた方は
健康診断で「適度な運動」と言われたら?おすすめの運動習慣とHIITを紹介もご覧ください。
ひとりで判断しにくいことこそ
「自分に合った強度が分からない」
「血圧も高めなので、どこまでやっていいのか不安」
こうしたご相談をよくいただきます。数値に関わることは、自己判断が難しい領域です。
アップルフィット倉敷に通われている方の多くは40代以上の女性です。
「健康診断の数値を整えたい」「この先も自分の足で元気に動いていたい」という理由でお越しになる方が中心です。
完全個室で、経験豊富な女性トレーナーが、その日の体調と血圧を確認しながら負荷を調整します。体成分測定で筋肉量の変化も追えるため、
数値の背景で何が起きているかを一緒に見ていけます。
まとめ
・
食後の糖の約80%は骨格筋が処理する。動かせるのは筋肉だけ
・40代以降は
エストロゲンの減少と筋肉量の低下が重なる
・
筋トレと有酸素運動は組み合わせるのが最も効果的
・タイミングは
食後15分〜1時間
・
2〜5分の軽い動きでも意味がある
・有酸素は週150分が目安。10分ずつに分けても構わない
完璧を目指す必要はありません。5年後10年後も心地よく動ける体を、できる範囲から整えていきましょう。