食べているようで、実は足りていないもの。
それは何だと思いますか。
答えはタンパク質です。
「毎日きちんと食べているから大丈夫」と思っていても、実際には必要量に届いていない方が少なくありません。
最近はテレビやSNS、ジムでも「タンパク質を摂りましょう」と耳にする機会が増えました。けれど、なぜそれほど重要なのか、どのくらい摂ればよいのかを正しく理解している方は、意外と多くありません。
今回は、タンパク質の役割と必要量、そして40代以降に知っておきたいことをお伝えします。
タンパク質が体の中でしていること
タンパク質は筋肉や髪、爪をつくる材料として知られていますが、それだけではありません。 ・筋肉・皮膚・髪・爪など、体をつくる材料になる ・消化や代謝を助ける酵素の材料になる ・成長や代謝を調整するホルモンの材料になる ・免疫機能を支え、病原体から体を守る ・酸素や栄養素を全身へ運ぶ ・必要に応じてエネルギー源として使われる さまざまな役割がありますが、今回は最後の「エネルギー源として使われる」という点に注目してみましょう。 一見すると良いことのように思えますが、実はタンパク質がエネルギーとして多く使われる状態は、望ましいことではありません。足りないと、筋肉が削られます
本来、体は糖質や脂質を優先的なエネルギー源として使います。 しかしエネルギー不足の状態が続くと、体は筋肉を分解してアミノ酸を取り出し、それをエネルギーとして使うようになります。 このような状態は、次のような場面で起こりやすいとされています。 ・空腹の時間が長い ・極端な食事制限をしている ・長時間の激しい運動をしている 秋に入ってダイエットを始めた方の中には、食事量を大きく減らしている方もいるかもしれません。けれど食事制限の方法によっては、脂肪ではなく筋肉が減り、その結果として体重が落ちているケースもあります。 体重は減ったのに、体は引き締まらない。これはまさにそのパターンです。1日に必要な量の目安
一般的には、まず体重1kgあたり1g程度を目安にしてみましょう。 体重60kgの方であれば、1日に約60gです。 ■ よくある誤解 ここで注意したいのは、「60gのお肉を食べればよい」という意味ではないことです。必要なのは、食品に含まれるタンパク質そのものの量です。 鶏むね肉100gに含まれるタンパク質は、およそ20〜25g。つまり60gのタンパク質を確保するには、肉・魚・卵・大豆製品などを組み合わせて、かなりの量を食べる必要があるということです。 「思ったより摂れていなかった」という方が多いのは、この計算をしてみると分かります。 ■ 筋トレをしている方は 筋力トレーニングを行っている方や筋肉を増やしたい方は、体重1kgあたり1.6〜2.2g程度が推奨されています。 栄養素全体のバランスについては5大栄養素の役割とは|40代からの体をつくる食事の基本をご覧ください。40代以降は、同じ量では足りません
ここが今回、最もお伝えしたい点です。 年齢を重ねると、同じ量のタンパク質を摂っても、筋肉に変わる割合が下がります。この現象は同化抵抗性と呼ばれ、加齢による筋肉の減少(サルコペニア)の原因の一つと考えられています。 つまり若い頃と同じ食事では、筋肉が維持できなくなるということです。 「食べる量は変わっていないのに、筋肉が落ちた」と感じる方は、この影響を受けている可能性があります。 ■ 目安はどう変わるか 高齢期のフレイル(心身の衰え)を予防するためには、体重1kgあたり1.0g以上が望ましいとされています。1.5gを摂ったグループで筋肉量や身体機能の改善が見られたという報告もあります。 「歳をとったら食が細くなるから、タンパク質も少なめでいい」という考えは逆です。必要な量は、むしろ増えます。 加齢と筋肉の関係は【40代から始める健康対策】サルコペニアとフレイルを予防する方法とは?で詳しく解説しています。1日の合計より、「1食あたり」が大切です
もう一つ、実践のうえで重要なことがあります。 1日60g必要だとしても、夕食に50g、朝と昼に5gずつという摂り方では効果が薄れます。 筋肉の合成が始まるには、1食あたり一定量以上のタンパク質が必要です。 ・若い方:1食20g程度で合成が始まる ・40代以降:この基準が上がり、1食25〜30gが目安 これは欧州の高齢者栄養の専門家グループ(PROT-AGE)が示している推奨です。 ■ 日本人に多い落とし穴 朝食がパンとコーヒーだけ、昼はおにぎりや麺類。こうした食事では、朝と昼のタンパク質がほとんどゼロに近くなります。 夕食でまとめて摂っても、朝と昼の分は取り戻せません。3食に分けて、毎食20〜30gを目指す。これが40代以降の基本です。 ■ 朝食に足しやすいもの ・卵1個(約6g) ・納豆1パック(約8g) ・ヨーグルト1個(約4g) ・牛乳1杯(約7g) 卵と納豆を朝食に足すだけで、約14gになります。何を食べればよいか
タンパク質を効率よく摂るなら、次の食品が中心になります。 ・肉(鶏むね、豚ヒレ、牛赤身) ・魚(サバ、鮭、アジ、エビ) ・卵 ・大豆製品(納豆、豆腐、豆乳) ・乳製品(ヨーグルト、チーズ、牛乳) 筋肉の合成を促すアミノ酸(ロイシン)は、特に肉・魚・卵・乳製品に多く含まれます。 食材ごとのくわしい話は、次の記事をご覧ください。 ・卵のタンパク質は加熱がお得|吸収率と調理法のコツ ・鶏むね肉に飽きたら「エビ」|高タンパク低カロリー ・筋トレ・ダイエットにおすすめ!納豆の選び方と食べ方 ・プロテインパウダーよりも肉や魚のタンパク質が優れている理由数字を確認してみてください
あなたの普段の食事は、必要量に届いていたでしょうか。 実際に計算してみると、「思ったより摂れていなかった」という方が少なくありません。特に朝食と昼食を振り返ってみてください。 体づくりや健康維持のためには、まず必要な栄養素を十分に摂ること。減らすことより、足りていないものを足すことが先です。食事内容を見直しても変わらないときは
タンパク質の量を意識しても、思うような変化が出ないことはあります。 そのときは、摂った栄養を筋肉に変える刺激、つまり運動が足りていない可能性があります。タンパク質は材料であり、それを筋肉にするには筋トレという合図が必要です。 アップルフィット倉敷に通われている方の多くは40代以上の女性です。「短期間で何キロ落としたい」という方よりも、「この先も自分の足で元気に動いていたい」という理由でお越しになります。 完全個室で、経験豊富な女性トレーナーが、普段の食事内容を伺いながら、タンパク質の摂り方と運動の両面からご提案します。無理な食事制限ではなく、正しく食べながら体を整えていきましょう。まとめ
・タンパク質は体をつくる材料。足りないと筋肉が削られます ・目安は体重1kgあたり1g。「60gのお肉」ではなく「タンパク質60g」です ・40代以降は同じ量では足りません(同化抵抗性)。1.0g以上、可能なら1.5gを ・1日の合計より1食あたり25〜30g。朝と昼が抜けやすいので注意 ・卵と納豆を朝食に足すだけで、約14g増えます 食べているつもりで足りていないもの。一度、数字で確認してみてください。
参考資料
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
国立健康・栄養研究所 e-ヘルスネット「たんぱく質」
