
体づくりや健康のために、たんぱく質を意識して食べている方も多いのではないでしょうか。
その中でも、手軽に食べられるのが「卵」です。
では、卵のたんぱく質がより吸収されやすいのは、生と加熱したもの、どちらだと思いますか。
某ボクシング映画で、主人公が生卵を飲むシーンを思い出す方もいるかもしれません。
その影響もあってか、かつては「生卵でたんぱく質をとるのがよい」というイメージがありました。
今回は、研究で分かってきた卵のたんぱく質の吸収の違いと、安全でおいしい卵の食べ方をお伝えします。
卵のたんぱく質は、加熱したほうが吸収されやすい
1999年に発表された研究では、健康な成人10人に、卵のたんぱく質25gを含む食事を、加熱した場合と生の場合でそれぞれ食べてもらい、小腸で吸収されずに残る量を調べました。
その結果、小腸で消化・吸収されずに通り過ぎたたんぱく質は、加熱した卵では約6%だったのに対し、生卵では約35%でした。
つまり、加熱した卵のほうが、たんぱく質を体に取り込みやすいということです。
加熱によってたんぱく質の構造がほどけ、消化酵素が働きやすくなるためと考えられています。
なお、この研究は少人数で行われたもので、生卵がまったく役に立たないという意味ではありません。
「同じ卵を食べるなら、火を通したほうが効率がよい」と覚えておくとよいでしょう。
生卵で気をつけたい2つのこと
卵白の成分がビオチンの吸収を妨げることも
ビオチンは、皮膚や粘膜の健康に関わるビタミンB群の一種です。
生の卵白に含まれる「アビジン」という物質は、ビオチンと結びついてその吸収を妨げることがあります。
ただし、加熱するとアビジンの性質が変わり、その影響を抑えられます。
ビオチンはいろいろな食品に含まれ、腸内細菌によってもつくられるため、生卵を大量に食べ続けない限り、欠乏の心配はほとんどないとされています。
食中毒の原因になるサルモネラ菌
卵には、食中毒の原因となるサルモネラ菌がついていることがあります。
日本では、菌が入っている卵はとても少ない(10万個に3個くらい)とされていますが、扱い方が悪いと卵の中で菌が増えることがあります。
生で食べるときは、次のことに気をつけましょう。
・買ってきたら冷蔵庫(10℃以下)で保存する
・卵の賞味期限は「生で食べられる期限」なので、期限を過ぎていないか確認する
・殻にひびが入っていないか確認する
・食べる直前に殻を割り、割ったまま置きっぱなしにしない
賞味期限を過ぎた卵やひびが入った卵は、しっかり加熱して早めに食べましょう。
おすすめは「加熱した卵料理」をいろいろと
ゆで卵、目玉焼き、卵焼き、スクランブルエッグ、温泉卵など、加熱した卵料理なら、どれもたんぱく質を効率よくとることができます。
国の「食事バランスガイド」では、卵1個の料理(目玉焼きなど)が主菜の「1つ」にあたり、その基準はたんぱく質約6gです。
忙しい朝はゆで卵を作り置きしておく、みそ汁やスープに落とし卵を加える、野菜炒めに卵を合わせる、など、毎日の食事に取り入れやすいのも卵の魅力です。
卵は、体に必要な必須アミノ酸をバランスよく含む良質なたんぱく源でもあります。
卵のたんぱく質の特徴については、卵のたんぱく質の特徴とは?身体づくりに役立つ理由を解説で詳しく紹介しています。
卵は1日何個まで?コレステロールの考え方
「卵はコレステロールが多いから、1日1個まで」と聞いたことがある方もいるかもしれません。
体内のコレステロールの多くは肝臓などでつくられていて、食事からの量が多いと体内でつくる量が少なくなるように調節されています。
そのため、現在は、食事のコレステロールが血液中のコレステロール値に影響するという根拠は十分ではないとされ、食事摂取基準では健康な人のコレステロール摂取量の上限は定められていません。
一方で、すでに脂質異常症がある方は、重症化を防ぐためにコレステロールを1日200mg未満にとどめることが望ましいとされています。
卵はコレステロールの主な供給源なので、健康診断でLDLコレステロールが高いと言われている方は、医師や管理栄養士に相談しながら量を決めましょう。
また、コレステロールを気にして卵や肉、魚を控えすぎると、今度はたんぱく質が不足してしまうことがあります。
卵だけに頼らず、肉・魚・大豆製品・乳製品などと組み合わせて、いろいろな食品からたんぱく質をとるのがおすすめです。
1日に必要なたんぱく質の量は、タンパク質、足りていますか?食べているのに不足する理由と必要量を参考にしてください。
乳製品の取り入れ方は、ダイエット中に乳製品はとるべき?40代からの選び方と1日の目安量で紹介しています。
まとめ
卵のたんぱく質は、生よりも加熱したほうが吸収されやすいことが研究で分かっています。
加熱すれば、生の卵白によるビオチンへの影響や食中毒のリスクも抑えられます。
ゆで卵や目玉焼き、卵焼きなど、好みの卵料理で上手に取り入れていきましょう。
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参考資料
Evenepoel P, et al. “Amount and fate of egg protein escaping assimilation in the small intestine of humans.” American Journal of Physiology(1999)(KU Leuven 学術リポジトリ)https://lirias.kuleuven.be/157072
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「ビオチンの働きと1日の摂取量」(2025年更新)https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/biotin.html
内閣府食品安全委員会「キッズボックス 卵を安全に食べるために」(2022年)https://www.fsc.go.jp/kids-box/index.data/202207_kidsbox.pdf
農林水産省「食事バランスガイド早分かり 『何を』『どれだけ』材料と料理区分」https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/balance/division.html
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「コレステロールの働きと1日の摂取量」(2025年更新・日本人の食事摂取基準2025年版に基づく)https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/cholesterol.html
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量」(2025年更新)https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tanpaku-amino.html
