
「プロテイン」と聞くと、筋トレやスポーツをしている人が飲むもの、というイメージが強いかもしれませんね。
しかし、プロテインとは英語でたんぱく質のことです。
たんぱく質は、筋肉や臓器など体をつくる材料になるだけでなく、酵素やホルモン、免疫に関わる物質としても働く、欠かせない栄養素です。
食事で足りない分を手軽に補える「プロテインパウダー」は、忙しい方や食が細くなってきた方にとって、便利な選択肢のひとつです。
今回は、代表的な3種類のプロテインの違いと、目的や体質に合わせた選び方を、トレーナーの視点から解説します。
まず知っておきたい、1日に必要なたんぱく質の量
国の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18歳以上の女性のたんぱく質の推奨量は1日50gとされています(男性は18〜64歳で65g、65歳以上で60g)。
たんぱく質は、骨格筋の量や筋力に大きく影響し、十分にとっている人ほどフレイル(心身の衰え)のリスクが低いことも分かっています。
一方で、たくさんとればとるほど筋肉が増えるわけではありません。
厚生労働省の資料では、たんぱく質の摂取量が体重1kgあたり1日1.3gを超えると筋肉が増える効率は悪くなり、必要以上にとると腎臓などへの負担のおそれもあるとされています。
腎臓の病気がある方や、健康状態に不安がある方は、プロテインを使う前にかかりつけ医に相談してください。
自分の食事でどのくらいとれているかはタンパク質、足りていますか?食べているのに不足する理由と必要量で確かめ方を紹介しています。
代表的な3種類のプロテインの違い
牛乳のたんぱく質は、約80%が「カゼイン」、残りの約20%が「ホエイ(乳清たんぱく質)」でできています。
市販のプロテインは、主にこの牛乳由来の2種類と、大豆由来の「ソイ」の3つに分けられます。
ホエイプロテイン(原料:牛乳)
ヨーグルトの上にたまる透明な液体(乳清)に含まれるたんぱく質です。
飲んだあと、血液中のアミノ酸がすばやく大きく上がる「速いたんぱく質」です。
若い男性を対象にした研究では、筋トレ後に飲んだときの筋肉のたんぱく質の合成が、カゼインやソイより大きかったと報告されています。
トレーニング後に手早くたんぱく質を補いたい方に向いています。
ホエイの詳しい特徴はホエイプロテインのメリットとは?筋トレだけでなく美容や健康にも役立つ理由で解説しています。
カゼインプロテイン(原料:牛乳)
胃の中で固まりやすく、ゆっくり消化されるため、血液中のアミノ酸がゆるやかに長く続く「遅いたんぱく質」です。
飲んだあとの体のたんぱく質の分解を抑える働きが、ホエイより大きかったという研究もあります。
食事と食事の間が長く空くときや、ゆっくりたんぱく質を補いたいときに向いています。
ソイプロテイン(原料:大豆)
大豆からつくられる植物性のたんぱく質です。
大豆は、肉や魚、卵、乳製品と同じく、必須アミノ酸のバランスがよい食品とされています。
「腹持ちがよく吸収がゆっくり」と言われることがありますが、研究では、ソイはホエイと同じ「速いたんぱく質」に分類されています。
ソイの特長は吸収の速さよりも、乳製品を使っていないことです。
牛乳でお腹がゆるくなる方や、植物性の食品を取り入れたい方に向いています。
「いつ飲むか」より「1日にどれだけとれているか」
「プロテインはトレーニング直後30分以内に飲まないと意味がない」と聞いたことがあるかもしれません。
しかし、23の研究をまとめた分析では、1日の総たんぱく質量などの条件をそろえると、トレーニング前後に飲むタイミングによる筋肉の増え方や筋力の差は見られませんでした。
筋肉の増え方に最も関係していたのは、1日の総たんぱく質量でした。
つまり、飲む時間に神経質になるより、筋トレを続けながら、1日を通して必要な量をとることが大切です。
朝食でたんぱく質が少なくなりがちな方は朝に、食事の間が長く空く方は間食として、など、ご自身の生活に合わせて取り入れてみてください。
お腹がゆるくなる方は「乳糖」に注意
ホエイやカゼインのプロテインを飲むと、お腹が張ったり、ゆるくなったりする方がいます。
これは、牛乳に含まれる糖(乳糖)を分解する酵素が少ない「乳糖不耐症」が関係しているかもしれません。
MSDマニュアルによると、北欧系を除く多くの成人は、もともと大量の乳糖を消化しにくい体質です。
症状は、腹部の張りやけいれんのような痛み、下痢、おならなどで、食べてから30分から2時間ほどで出ることがあります。
このような方は、乳製品を原料としないソイプロテインを選ぶのがひとつの方法です。
なお、かゆみや発疹、ゼーゼーするといった症状が出る場合は、乳糖不耐症ではなく牛乳アレルギーの可能性があります。
その場合は自己判断で続けず、医療機関に相談してください。
プロテインは「食事の代わり」ではなく「食事の補助」
プロテインはあくまで、食事でとりきれない分を補うための食品です。
肉や魚、卵、大豆製品、乳製品には、たんぱく質だけでなく、ビタミンやミネラルなど体に必要な栄養素も含まれています。
まずは3食の食事で主菜をしっかりとり、足りない分をプロテインで補う、という考え方がおすすめです。
選ぶときは、パッケージの栄養成分表示で1回分のたんぱく質量とエネルギーを確認しましょう。
食事からとる大切さはプロテインパウダーよりも肉や魚のタンパク質が優れている理由、ダイエット中の使い方はプロテインは太る?ダイエットを成功させる正しい活用術で詳しくお伝えしています。
筋トレと合わせた食事の整え方は筋トレの効果を支える食事|たんぱく質の目安と40代からの栄養バランスもご覧ください。
自分に合った選び方を、一緒に考えます
プロテインは種類が多く、どれを選べばよいか迷ってしまう方も多いと思います。
大切なのは、目的と体質、そして毎日の食事に合わせて選ぶことです。
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女性トレーナー5名をはじめ、経験豊富なトレーナーが、トレーニングだけでなく、食事やプロテインの取り入れ方についても一緒に考えます。
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参考資料
長寿科学振興財団 健康長寿ネット「三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量」(2025年)https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tanpaku-amino.html
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」身体活動とエネルギー・栄養素について(2024年)https://www.mhlw.go.jp/content/001195876.pdf
一般社団法人Jミルク「牛乳の気になるウワサをスッキリ解決! ウワサ8 牛乳は胃の中で固まるので消化が悪い」(2016年)https://www.j-milk.jp/knowledge/food-safety/f13cn00000000tid-att/uwasa_Part8.pdf
Boirie Y, et al.「Slow and fast dietary proteins differently modulate postprandial protein accretion」Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA(1997年)https://europepmc.org/article/MED/9405716
Tang JE, et al.「Ingestion of whey hydrolysate, casein, or soy protein isolate: effects on mixed muscle protein synthesis at rest and following resistance exercise in young men」Journal of Applied Physiology(2009年)https://europepmc.org/article/MED/19589961
Schoenfeld BJ, et al.「The effect of protein timing on muscle strength and hypertrophy: a meta-analysis」Journal of the International Society of Sports Nutrition(2013年)https://europepmc.org/article/MED/24299050
MSDマニュアル家庭版「乳糖不耐症」(2025年)https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/03-消化器系の病気/吸収不良/乳糖不耐症
