
「16時間断食」は、1日の食事を8時間以内にまとめ、残りの16時間は食べないようにする方法です。
「食べる時間を決めるだけ」という手軽さから人気がありますが、実際にどのくらい効果があるのでしょうか。
今回は、16時間断食について研究でわかってきたことと、40代から取り入れる場合に気をつけたいポイントをお伝えします。
16時間断食とは?
16時間断食は、断続的断食(インターミッテント・ファスティング)のひとつです。
断続的断食には、毎日決まった時間帯にだけ食べる「時間制限食」、週の特定の日に断食をする方法、ふつうに食べる日とごく少量しか食べない日を交互にくり返す方法などがあります。
16時間断食は、このうちの「時間制限食」にあたります。
たとえば、朝10時から夕方6時までの間に食事をすませ、それ以外の時間は水やお茶などエネルギーのない飲み物だけにする、という形です。
研究でわかってきたこと
ふつうの食事と比べて、体重の減り方に差はなかった
アメリカで行われた研究では、太りぎみから肥満の成人116人を、1日8時間以内に食べる16時間断食のグループと、1日3食をとるグループに分けて12週間比べました。
その結果、2つのグループの体重の減り方には差がなく、研究者は「ほかの工夫をせずに時間制限食だけを行っても、1日を通して食べるより減量に効果的とはいえない」と結論づけています。
筋肉が減っていた可能性も
同じ研究で体の組成をくわしく測った人たちでは、16時間断食のグループで、手足の筋肉量の指標がもう一方のグループより減っていました。
体重が減っても、その中に筋肉が多く含まれていれば、体づくりの面では望ましくありません。
研究をまとめた評価でも「大きな差はない」
世界中の研究をまとめて評価しているコクランが2026年に公表したレビューでは、過体重や肥満の成人1,995人を対象とした22件の研究を分析しています。
時間制限食を含む断続的断食は、カロリー制限などの従来の食事指導と比べて、減量にほとんど差がないかもしれないとされました。
疲れやすさや頭痛、吐き気などの望ましくない症状については、確かなことは言えないとされています。
つまり16時間断食は、「特別に痩せる方法」というより、食べる時間を区切ることで食べる量を調整する方法のひとつと考えるのが実際に近いといえます。
40代から気をつけたいこと
たんぱく質が足りなくなりやすい
食べる時間が短くなると、1日に必要なたんぱく質をとりきれないことがあります。
たんぱく質の1日の推奨量は、成人女性で50gです。
たんぱく質は筋肉など体をつくる材料で、摂取量とフレイル(心身の衰え)のリスク低下との関連も報告されています。
減量中に筋肉を守る考え方は、ダイエットに筋トレは必要?減量中に筋肉を守る理由と体重が減らない時期の考え方で詳しく紹介しています。
自己判断で始めないほうがよい方
次のような方は、自己判断で16時間断食を始めず、まず医師に相談してください。
・糖尿病などで薬を飲んでいる方(低血糖を起こすおそれがあります)
・妊娠中、授乳中の方
・持病があり治療中の方
・過去に摂食障害の経験がある方
めまいや強いだるさ、動悸などを感じたら、すぐに中止しましょう。
「食べられない時間」がストレスになることも
食べてはいけない時間を強く意識しすぎると、食事への不安が増えたり、食べられる時間にまとめ食いをしたりすることもあります。
自分に合わないと感じたら、無理に続ける必要はありません。
取り入れるなら、この3つを守って
1.食べる8時間で、たんぱく質と野菜をしっかり
主食・主菜・副菜をそろえ、肉や魚、卵、大豆製品などの主菜を毎食とりましょう。
2.食べる時間は早めに
夜遅くに食べる時間帯をつくるより、朝から夕方の間にまとめるほうが、生活リズムを整えやすくなります。
夜遅い食事との付き合い方は、寝る前の炭水化物は太る?夜遅い夕食との付き合い方と量の目安、朝食を抜く場合の注意点は朝食を抜くと太る?ダイエットへの影響と食事の整え方で紹介しています。
3.筋トレと組み合わせる
食事の調整だけで体重を落とそうとすると、筋肉も減りやすくなります。
週2〜3日の筋トレを組み合わせて、筋肉を守りながら進めましょう。
大切なのは「続けられる食べ方」
16時間断食は、合う人にとっては食べる量を整える方法のひとつになりますが、ほかの方法より特別に優れているわけではありません。
40代、50代からの体づくりで大切なのは、短期間で体重を落とすことより、筋肉を保ちながら続けられる食事と運動の習慣をつくることです。
ファスティング全般や酵素ドリンクについては、酵素ドリンクで痩せるは本当?ファスティングとの付き合い方を医学的根拠からもあわせてご覧ください。
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「自分に合う食べ方が分からない」という方も、5年後、10年後も元気に動ける体づくりを一緒に考えていきましょう。
参考資料
Lowe DA, et al.「Effects of Time-Restricted Eating on Weight Loss and Other Parameters in Patients With Overweight and Obesity: The TREAT Randomized Clinical Trial」JAMA Internal Medicine(2020)https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2771095
Garegnani LI, et al.「Intermittent fasting for adults with overweight or obesity」Cochrane Database of Systematic Reviews(2026)日本語要約https://www.cochrane.org/ja/evidence/CD015610_intermittent-fasting-traditional-dietary-advice-or-no-treatment-which-works-better-help-adults
長寿科学振興財団 健康長寿ネット「三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量」https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tanpaku-amino.html
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 推奨事項(成人版)」(2024)https://www.mhlw.go.jp/content/001195866.pdf
