
SNSや広告で「酵素ドリンクを飲むだけで痩せる」「酵素が代謝を上げる」といった文言を目にすることが増えました。
しかし、医学・栄養学の視点から見ると、「飲む酵素がそのまま体内で酵素として働く」という主張は誤解を招きやすいです。
以下で理由と、正しい理解・使い方を整理します。
理由は主に2点です。
日本の清涼飲料水の製造基準では、pHや製法に応じて加熱殺菌が求められており(例:pH4.0未満のものでも中心温度65℃で10分など)、商業的に流通する多くの飲料は加熱処理や除菌工程を経ます。
タンパク質である酵素は熱に弱く、比較的低温でも立体構造が壊れて働かなくなります。
したがって、瓶詰め・出荷後に「生きた酵素」が多数そのまま残っているとは考えにくい。
仮に飲み物に活性のある酵素が含まれていたとしても、胃の強酸性(pH1〜2)や消化酵素によって分解され、個々のアミノ酸やペプチドに分解されます。
つまり「飲んだ酵素が腸まで届いて脂肪を分解する」というメカニズムは人体の消化生理から考えて起こりにくい。
酵素ドリンクそのものの“酵素作用”ではなく、ファスティングという行為そのものやドリンクの栄養組成が働いている場合が多いと考えられます。
固形食を止めることで消化に回っていたエネルギーが他に回りやすくなり、むくみの改善や肌調子の改善、疲労感の軽減を実感する人がいます。
普段の摂取より総カロリーが減れば体重は減ります。酵素ドリンクは単に「低カロリーで過ごした」結果であることが多いです。
断食によって細胞内のオートファジー(損傷タンパク質等を分解・再利用する仕組み)が活性化する可能性が研究で示唆されています。
ただし、ヒトでの臨床的な発現タイミングや程度は動物データほど明確に確立されておらず、個人差も大きい点に注意が必要です。
初心者や日常生活を送りながら断食を行う場合、完全な水断食は低血糖やめまい、強い倦怠感などのリスクがあります。
酵素ドリンクは糖質や微量栄養を含み、低血糖症状を防いで断食を続けやすくする「補助食品」として有用です。
また、発酵由来の飲料では生菌(プロバイオティクス)は死滅していても、その代謝物やプロバイオティクスの成分(いわゆるポストバイオティクス)が腸内に良い影響を与える可能性もあります。
原材料名の先頭に「果糖ブドウ糖液糖」「砂糖」などが来る製品は、単なる糖分飲料の可能性大。
発酵素材が主体なら「植物発酵エキス」や具体的な野菜果物名が先頭に来やすい。
保存料・人工甘味料・着色料が多いものは避ける。
1本あたりのエネルギー(kcal)や糖質量を確認し、目的(断食補助/カロリー補充)と照らし合わせる。
製造方法の記載(加熱殺菌の有無、発酵方法)や第三者の検査・認証があると安心感が増す。
糖尿病、妊娠中、授乳中、持病がある方、過去に摂食障害がある方は、自己判断での断食は危険です。
医師・トレーナーに相談してください。
長期の極端な断食は筋肉量低下や代謝低下、胆石のリスクなどを増やす可能性があるため、目的と期間を明確に。
短期(1〜3日)であれば管理しやすいが、オートファジー効果を狙うなら数日以上の継続が必要とする報告もあり、体調管理が重要です。
「酵素ドリンク=酵素そのものが直接脂肪を燃やしている」は誤解。
加熱や消化で酵素活性が失われる可能性が高い。
それでも『酵素ドリンク+ファスティング』は意味がある:断食によるカロリー制限や代謝変化、発酵由来成分の効果で体調改善や減量につながることがある。
用いるなら「補助食品」として賢く選び、リスクや基礎疾患に注意することです。
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