
トレーニングを頑張った日の「ご褒美の1杯」は、とても楽しみですよね。
ただ、飲むタイミングによっては、せっかくのトレーニングの成果や体の回復に影響することがあります。
この記事では、筋トレ直後の飲酒を控えたい理由を研究や公的資料をもとにお伝えし、お酒を楽しみながら体づくりを続けるための飲み方をご紹介します。
お酒の種類によるカロリーや糖質の違いは蒸留酒は本当に太りにくい?糖質・カロリーの比較と40代からの上手な飲み方、ダイエット中のお酒の選び方はダイエット中もお酒を楽しむには?選び方と飲み方の基本で詳しく解説しています。
筋トレ後の体は「筋肉をつくる時間」に入っている
筋トレの後、体の中では筋肉を修復し、つくり直す働き(筋たんぱく質の合成)が高まります。
このときに材料となるたんぱく質をとり、しっかり休むことで、筋肉は少しずつ育っていきます。
ところが、この時間帯にアルコールをとると、その働きが弱まることが研究で示されています。
オーストラリアの研究チームが2014年に発表した実験では、運動習慣のある男性8人が筋トレと自転車運動を行った後、プロテインだけをとった場合と、プロテインと一緒にお酒を飲んだ場合などを比べました。
その結果、プロテインと一緒にお酒を飲んだ場合でも、筋たんぱく質の合成はプロテインだけの場合より約24%低く、お酒と糖質の組み合わせでは約37%低くなりました。
ただし、この実験で飲んだ量は体重1kgあたり1.5gのアルコールで、標準的なお酒にして10杯以上にあたる多量の飲酒です。
少量の1杯で同じことが起きるとまでは言えませんが、「プロテインを飲んでいれば、お酒を飲んでも大丈夫」というわけではないことが分かります。
飲酒後の運動・入浴は国のガイドラインでも「避けるべき」
厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、飲酒中や飲酒後の運動・入浴など、体に負担のかかる行動は避けるべきとされています。
お酒によって血圧の変動が強まり、心筋梗塞などを引き起こす可能性や、転倒によるけがの可能性があるためです。
筋トレの後は、汗を流そうとお風呂に入る方も多いと思います。
「トレーニング後に一杯飲んでから、ゆっくりお風呂へ」という順番は、体に負担のかかる組み合わせになります。
トレーニングの日は、お風呂を先に済ませ、お酒はそのあとにするのがおすすめです。
入浴の温度や時間、タイミングは筋トレ後の入浴で回復を助けるコツ|温度・時間・タイミングと注意点でご紹介しています。
また、同じガイドラインでは、高齢になると同じ量のお酒でも酔いやすくなり、飲酒による転倒や骨折、筋肉の減少(サルコペニア)の危険性が高まることも示されています。
筋肉を守るために筋トレをしている方にとって、お酒の量は気にかけておきたいポイントです。
水分不足と睡眠の質の低下で、回復が遅れやすくなる
トレーニングで汗をかいた体は、水分が不足しがちです。
お酒を飲んで酔った状態になると、尿の量を抑えるホルモン(抗利尿ホルモン)の分泌が減り、尿の量が増えて体が脱水に傾くことが知られています。
水分が足りないまま飲むと、体の水分不足が進みやすくなります。
トレーニング中・後の水分補給については筋トレ中に水分補給をすすめる3つの理由|40代からの飲むタイミングと量もあわせてご覧ください。
さらに、お酒は睡眠にも影響します。
アルコールは一時的に寝つきをよくしますが、深いノンレム睡眠を減らし、夜中に目が覚める回数を増やして、睡眠の質を下げてしまいます。
深いノンレム睡眠のときには成長ホルモンが多く分泌され、体の組織の修復に関わっています。
筋肉が回復するための大切な時間を、お酒で浅い眠りにしてしまうのはもったいないですよね。
睡眠と体重の関係は睡眠不足は太る原因に?ホルモンと研究から見る睡眠と肥満の関係で詳しくお伝えしています。
筋トレの日にお酒を楽しむための4つのポイント
お酒を完全にやめる必要はありません。
トレーニングの日は、次のような順番と量を意識してみてください。
1.トレーニング直後は、まず水分とたんぱく質、食事を
終わってすぐの1杯は控え、水やお茶で水分をとり、たんぱく質を含む食事を先に済ませましょう。
ガイドラインでも、飲酒の前や飲酒中に食事をとると、血中のアルコール濃度が上がりにくくなるとされています。
2.お風呂を済ませてから飲む
飲酒後の入浴は避けるべき行動のひとつです。
入浴を先にし、お酒はその後にしましょう。
3.飲む量をあらかじめ決めておく
生活習慣病のリスクを高める量は、1日あたりの純アルコール量で男性40g以上、女性20g以上とされています。
女性の20gは、ビール(5%)なら中瓶1本(500ml)程度です。
ただし、これは「ここまでなら飲んでよい量」ではなく、少ないほどリスクは下がると考えられています。
トレーニングの日は、いつもより控えめにする日と決めておくのもよい方法です。
4.お酒の合間に水を飲む
お酒と一緒に水や炭酸水を飲むと、飲む量に占めるアルコールの量を減らすことができます。
脱水を防ぐ意味でも、ぜひ取り入れてみてください。
暑い季節のお酒の注意点は蒸し暑い季節のお酒に注意!熱中症を防ぐ体調管理のポイント、飲み会でのメニュー選びはお酒の誘惑に負けない!ダイエット中におすすめの居酒屋メニューとは?でご紹介しています。
お酒とも上手に付き合いながら、長く続けられる体づくりを
体づくりは「トレーニング」「食事」「休養」のバランスで成り立っています。
お酒は、そのうちの食事と休養の両方に影響するものです。
「直後の1杯を少し後にする」「お風呂の後にする」「量を決めておく」という小さな工夫で、トレーニングの成果を守りやすくなります。
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参考資料
Parr EB, et al.「Alcohol ingestion impairs maximal post-exercise rates of myofibrillar protein synthesis following a single bout of concurrent training」PLoS One(2014)https://europepmc.org/article/MED/24533082
厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(2024年)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001211974.pdf
厚生労働省 e-ヘルスネット 樋口進「二日酔いのメカニズム」(2025年更新)https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/alcohol/a-03-005.html
厚生労働省 e-ヘルスネット 三島和夫「快眠と生活習慣」(2025年更新)https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-004.html
全国健康保険協会(協会けんぽ)熊本支部「睡眠の基礎知識」(2026年)https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/kumamoto/public_relations/007/003/
