
「体重や体脂肪を減らしたくてカロリー制限をしているのに、なかなか減らない」と悩む方もいらっしゃると思います。
以前からお話していますが、体重や体脂肪を減らすには、
栄養素のバランスが崩れていないこと、消費カロリーが摂取カロリーを上回っていることが基本です。
しかし、これをクリアしているつもりなのに体重が落ちないケースも少なくありません。
今回は、基礎代謝を下回るような極端な食事はしていない、タンパク質・脂質・炭水化物のバランスも大きく崩れていない、という方を前提に、それでも落ちないときに見直したい6つの原因をお話します。
① 「食べていない」つもりが、実は食べている
少し耳の痛い話から始めます。
「カロリー制限をしているのに痩せない」と訴える方を対象にした有名な研究があります。
参加者の食事と活動を精密に測定したところ、
実際に食べていた量は本人の申告より平均で約47%多く、運動量は約51%少なかったという結果でした。
これは嘘をついているのではなく、人間の記憶と感覚がそれだけ不正確だということです。
飲み物のカロリー、調理油、味見、お子さんの残り物、「少しだけ」のお菓子。
こうしたものは記憶に残りにくく、合計すると1日300〜500kcalになることも珍しくありません。
対策としては、1週間だけでよいので、口に入れたものをすべて写真に撮るか、アプリに記録してみてください。
多くの方が「思っていたより食べていた」ことに気づかれます。
② 筋肉が減って、消費カロリーが下がっている
食事を減らすと、体は脂肪だけでなく筋肉も減らします。
特に、タンパク質が足りない状態で食事量を減らし、運動もしていない場合、減った体重の3〜4割が筋肉だったという報告もあります。
筋肉は何もしていなくてもエネルギーを使う組織ですので、筋肉が減ると1日の消費カロリーも下がり、「前と同じ量しか食べていないのに減らない」という状態が起こります。
さらに、体重が減ると体は省エネモードに入り、消費カロリーが計算上の予測よりも下がることが知られています。
これは「適応熱産生」と呼ばれる体の防御反応で、ダイエット中の誰にでも起こります。
対策は、
タンパク質を体重1kgあたり1.2〜1.6g程度しっかり取り、週に1〜2回は筋トレをして筋肉を守ることです。
40代以降は同じ量を食べても筋肉になりにくくなるため、少なくとも1.0g以上、できれば1.5gを目標にしてください。
タンパク質の必要量と食べ方は、
タンパク質、足りていますか?食べているのに不足する理由と必要量で詳しくお伝えしています。
食事を減らすだけのダイエットが行き詰まりやすいのは、この筋肉の問題が大きいのです。
③ 睡眠が足りていない
意外に思われるかもしれませんが、睡眠はカロリー制限の効果を大きく左右します。
同じカロリー制限をしながら、睡眠時間を「8.5時間」と「5.5時間」で2週間比較した研究では、
睡眠が短いグループは脂肪の減少が55%少なく、代わりに筋肉の減少が60%多かったと報告されています。
つまり、寝不足のまま食事を減らすと、脂肪ではなく筋肉が落ちてしまうのです。
睡眠不足は食欲を増やすホルモン(グレリン)を増やし、満腹を感じるホルモン(レプチン)を減らすことも知られています。
「夜遅くまで起きているとお腹が空く」という経験は、多くの方にあると思います。
対策としては、まず就寝時刻を30分早めること。
睡眠を削って早朝に運動するより、しっかり寝たほうがダイエットには有利です。
④ お酒が脂肪の燃焼を止めている
ダイエット中でもアルコールを飲む機会が多い方は、ここを見直してみてください。
アルコールは1gあたり約7kcalと、糖質やタンパク質(4kcal)より高カロリーです。
それだけでなく、体はアルコールを「早く処理すべきもの」として優先的に分解するため、
アルコールを処理している数時間は脂肪の燃焼が後回しになります。
さらに、お酒を飲むと食欲の抑えがきかなくなり、おつまみや締めの一品でカロリーが積み上がります。
肝臓は基礎代謝の約20%を担う臓器でもあり、毎日のアルコール処理で負担をかけ続けるのは、長期的な健康の面でもお勧めできません。
対策は、まず週に2日以上の休肝日をつくること。
飲む日の選び方や量については、
ダイエット中もお酒を楽しむには?選び方と飲み方の基本でお伝えしています。
⑤ 女性ホルモンの変化と、体重の「見かけの停滞」
40代以降の女性には、特にお伝えしたいことがあります。
女性の体重は、月経周期によって1〜2kg変動するのが普通です。
排卵後から月経前は、ホルモンの影響で体が水分をためやすく、脂肪は減っていても体重計の数字が動かない時期があります。
さらに更年期に入ると、女性ホルモンの減少によって内臓脂肪がつきやすくなり、筋肉量も減りやすくなるため、若い頃と同じ方法では結果が出にくくなります。
これは怠けているわけでも、やり方が間違っているわけでもありません。
体の仕組みが変わったのです。
対策としては、体重は1日ごとではなく週の平均や、月経周期の同じ時期同士で比べること。
そして、体重よりもウエストのサイズや体脂肪率、階段を上ったときの息切れといった「体重以外の変化」を見ることです。
女性ホルモンとダイエットの関係は、
痩せにくい時期はなぜ起こる?女性ホルモンとダイエットの関係をわかりやすく解説で詳しくお話しています。
⑥ 腸内環境と栄養の「質」
元の記事でもお伝えしていた、消化・吸収・代謝の話です。
食事の量を減らすと、どうしてもビタミンやミネラルの摂取量も減ります。
ビタミンB群は、食べたものをエネルギーに変える工程を手助けする「補酵素」として働くため、不足すると疲れやすくなり、結果として日中の活動量が落ちてしまいます。
また、腸内環境の乱れは、便通の悪化による体重の停滞、血糖値の変動、食欲のコントロールの乱れと関わることがわかってきています。
対策は、カロリーを減らしても「栄養の密度」は減らさないこと。
野菜、きのこ、海藻、発酵食品(味噌・納豆・ヨーグルト)を毎日の食事に入れ、善玉菌の餌になる食物繊維とオリゴ糖を意識してください。
オリゴ糖は、味噌・大豆・はちみつ・玉ねぎなどに含まれています。
体重が落ちないときに、一度は医師に相談してほしいこと
ここまでの6つを見直しても体重が全く動かない場合、体の側に原因があることもあります。
代表的なのは、甲状腺の働きが弱くなる「甲状腺機能低下症」です。
40代以降の女性に多く、体重が増えやすくなる、寒がりになる、疲れやすい、むくむ、といった症状が出ます。
また、一部のお薬(ステロイド、一部の抗うつ薬や精神安定剤など)には体重を増やす作用があるものもあります。
「頑張っているのに変わらない」状態が3か月以上続く場合は、一度、内科で相談してみてください。
血液検査で甲状腺の数値を調べることができます。
まとめ|消化・吸収・代謝という「見えにくい部分」に目を向ける
カロリー制限をしているのに体重が落ちない原因は、次の6つに整理できます。
1. 食べた量の思い込み。
2. 筋肉の減少と体の省エネ反応。
3. 睡眠不足。
4. アルコール。
5. 女性ホルモンの変化と体重の見かけの停滞。
6. 栄養の質と腸内環境。
今回は、意識的にはコントロールしにくい消化・吸収・代謝や、体の仕組みに目を向けてみると、さらにダイエットを効率的に進められるんじゃないかというお話でした。
「ダイエット頑張っているのに体重が減らない」「食事を変えているのに変わらない」など、悩まれている方にとって発見があれば幸いです。
食事だけでなく、運動・休息もダイエットにとって重要な要素です。
アップルフィット倉敷では、完全個室で経験豊富な女性トレーナーが、体成分測定の結果を見ながら「筋肉が減っていないか」「体重以外の数値はどう動いているか」を一緒に確認し、その方の生活に合わせた食事と運動のご提案をしています。
自己流で行き詰まったときは、一度ご相談ください。
やってしまいがちなダイエットの落とし穴については、
あまりお勧めできないダイエット方法4選もあわせてご覧ください。