
「筋トレとピラティス、どちらがいいのでしょうか」。
このご質問が、最近とても増えました。
特にマシンピラティスですね。
「倉敷 マシンピラティス」で検索してみて、こんなに店舗があるのかと驚きました。
私の家の近所にも新しくオープンしています。
それだけ関心が高まっているということだと思います。
アップルフィット倉敷には、パーソナルトレーニングとピラティス、どちらの資格も保有した女性トレーナーが在籍しています。
どちらか一方の立場からではなく、両方を実際に指導してきた経験と研究でわかっていることをもとに、公平にお伝えできればと思います。
目的とやり方の違い
■ 筋トレ
筋肉量を増やし、筋力を高めることが目的です。
ダンベルやマシン、または自分の体重を使って、筋肉に負荷をかけます。
特定の筋肉を狙い、比較的短時間で強い刺激を与えます。
■ ピラティス
体の深い部分にある筋肉(インナーマッスル)を働かせ、体幹を安定させることを重視します。
呼吸と連動させながら、ゆっくりと正確に動き、専用のマシンやマットを使います。
どちらが優れているという話ではありません。
目指す場所とやり方が違う、というだけのことです。
呼吸と体幹の関係については腹圧とは?腰痛・ぽっこりお腹に関わる体の仕組みもあわせてご覧ください。
研究でわかっている効果の違い
■ 筋トレで期待できること
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、筋トレによって筋力や体の機能、骨密度が改善し、高齢者では転倒や骨折のリスクが下がることが示されているとしています。
また、筋トレをしている人は、していない人に比べて、総死亡や心血管疾患、がん、糖尿病などのリスクが10〜17%低いことも報告されています。
なお「筋トレで代謝が上がって痩せやすくなる」とよく言われますが、安静時に筋肉が使うエネルギーは1kgあたり1日約13kcalで、筋肉が増えたことによる代謝の増加は控えめです。
減量中に筋トレを取り入れる意味は、ダイエットに筋トレは必要?減量中に筋肉を守る理由と体重が減らない時期の考え方で詳しく解説しています。
■ ピラティスで期待できること
ピラティスは、腰痛への効果が比較的よく調べられています。
コクランの系統的レビュー(2015年)では、慢性の腰痛がある方で、ピラティスは何もしない場合に比べて痛みや日常生活の支障を減らす可能性が高いとされました。
一方で、ピラティスがほかの運動より優れているという決定的な根拠はなく、続けやすさや好みで選んでよいとされています。
姿勢を整える、柔軟性やバランス感覚を高める、体を思い通りに動かせるようになるといった点も、ピラティスで目指すことです。
40代以降の女性に大切な「骨」と「転倒」の視点
閉経の前後で骨密度が下がりやすくなる
女性は閉経後、骨をつくる細胞を活発にするエストロゲン(女性ホルモン)が激減するため、骨密度が下がりやすく、骨粗しょう症になりやすくなります。
見た目や体型の話より、5年後10年後を考えるとこちらのほうが重要かもしれません。
■ 骨を強くするのは筋トレ
骨は、刺激を受けることで強くなります。
筋トレは、腱を介して筋肉が骨を引っ張る刺激を骨に与える運動です。
閉経後の女性を対象にしたコクランの系統的レビューでは、効果は大きくはないものの、運動で骨密度の低下が抑えられ、太ももの付け根(大腿骨頸部)の骨密度には、下半身の筋トレがもっとも効果的な運動と考えられています。
■ 転ばない体をつくるのはバランスの運動
骨粗しょう症で最も避けたいのは骨折で、その多くは転倒がきっかけで起こります。
地域で暮らす60歳以上の方を対象にしたコクランの系統的レビュー(2019年)では、バランスや日常動作の運動で転倒の回数が24%減り、バランスの運動と筋トレなどを組み合わせたプログラムでは34%減ると考えられています。
一方で、筋トレだけのプログラムでは、転倒を減らす効果ははっきりしませんでした。
ピラティスは、体幹を安定させながらバランスを取る動きを多く含む運動です。
■ つまり、役割が違います
・筋トレ:骨そのものを強くする
・バランスの運動(ピラティスなど):転ばない体をつくる
骨折を防ぐという目的から見ると、この2つはどちらか選ぶものではなく、組み合わせるのが理想だということが分かります。
骨を丈夫にする運動と栄養は骨密度の低下を防ぐには?運動と栄養で丈夫な身体づくりを目指そうもご覧ください。
どちらから始めるとよいか
とはいえ、いきなり両方は難しいという方がほとんどだと思います。
目安をお伝えします。
■ 筋トレから始めるとよい方
・体を引き締めたい、体型を変えたい
・力をつけたい、日常動作を楽にしたい
・骨密度が気になる、健康診断で指摘された
・減量したい
■ ピラティスから始めるとよい方
・姿勢の崩れが気になる
・腰や肩のつらさがある
・体が硬い、バランスが不安
・産後の回復期にある
■ 迷ったら
今、痛みや不調がある方はピラティス寄りから、特に不調はなく体を変えたい方は筋トレ寄りからが大まかな目安です。
体を整えてから鍛えるという順番の考え方は-体づくりは順番が重要-「コンディショニング」と「トレーニング」の違いとは?で詳しく解説しています。
産後の方は体の状態が特殊なため、産後の体づくりはピラティス×パーソナルジムが効果的な理由をご覧ください。
効果を実感するまでの期間
「どのくらい続ければ変わりますか」というご質問もよくいただきます。
どちらも数週間で劇的に変わるものではありません。
厚生労働省のガイドで紹介されている研究では、週2〜3日の筋トレのプログラムが最も多く採用されており、ガイドでも筋トレは週2〜3日がすすめられています。
ただ、その前から「階段が楽になった」「疲れにくくなった」といった体感の変化を感じる方も多くいらっしゃいます。
どちらを選ぶにしても、正しいフォームで
体幹が安定すれば筋トレのフォームが安定し、筋力がつけばピラティスの動きも安定するので、2つは互いを補い合う関係です。
そして、どちらを選ぶにしても大切なのが正しいフォームで行うことです。
フォームが崩れた状態で続けると、狙った部分に効かないだけでなく、かえって体を痛めることがあります。
自分のフォームが正しいかどうかは、動画を見ながら真似ても、自分ではなかなか分かりません。
■ お店を選ぶときに確認したいこと
・少人数か個別で見てもらえるか
・体の状態を確認したうえで内容を決めてくれるか
・不調や既往歴を伝えられる雰囲気があるか
グループレッスンは費用面で始めやすい反面、一人ひとりの動きまでは見きれないことがあります。
特に痛みや不調がある方は、個別に見てもらえる環境をおすすめします。
まとめ|役割の違いを知って、自分に合った方法を
筋トレとピラティスは、優劣ではなく役割の違いです。
・筋トレ:筋肉と筋力を高め、骨密度の低下を抑える
・ピラティス:体幹と姿勢を整え、腰痛の軽減も期待できる
・40代以降は骨密度と転倒予防の両方が大切で、筋トレとバランスの運動の組み合わせが理想
アップルフィット倉敷には、パーソナルトレーニングとピラティスのどちらの資格も保有した女性トレーナーが在籍しています。
そのため「筋トレのほうがいいですよ」と一方的にお勧めすることはありません。
体の状態を確認したうえで、今のあなたに必要なほうからご提案します。
通われている方の多くは40代以上の女性で、「この先も自分の足で元気に動いていたい」「検査では異常が出ないけれど、なんとなくの不調を整えたい」という理由でお越しになります。
完全個室のため、人目を気にせず取り組んでいただけます。
パーソナルジムとピラティススタジオのどちらに通うか迷われている方は、一度ご相談ください。
参考資料
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 筋力トレーニングについて」(2024)https://www.mhlw.go.jp/content/001195869.pdf
厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」(2019年更新)https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-07-002.html
Cochrane「Pilates for low back pain」(Yamato TP ほか、2015)https://www.cochrane.org/evidence/CD010265_pilates-low-back-pain
長寿科学振興財団 健康長寿ネット「骨粗鬆症予防の運動とは」(2024年更新)https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shippei-undou/undou-kotsusoshoushou.html
Cochrane「Exercise for preventing and treating osteoporosis in postmenopausal women」(Howe TE ほか)https://www.cochrane.org/evidence/CD000333_exercise-preventing-and-treating-osteoporosis-postmenopausal-women
Cochrane「Exercise for preventing falls in older people living in the community」(Sherrington C ほか、2019)https://www.cochrane.org/evidence/CD012424_exercise-preventing-falls-older-people-living-community
