
「お正月の間に体重が2〜3kg増えてしまった」。
そんなとき、体重計の数字を見て落ち込んでしまう方も多いのではないでしょうか。
でも、短い期間に増えた体重が、すべて脂肪に変わったと考える必要はありません。
今回は、食べすぎた後に体重が増える仕組みを、研究や国の資料をもとに整理します。
仕組みを知っておくと、焦って極端な食事制限をせずに済みます。
短期間で増えた体重の多くは脂肪ではない
体脂肪1kgは約7,000kcal分
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、体脂肪1kgを減らすために必要なエネルギー量は約7,000kcalとされています。
つまり、体脂肪が3kg増えるには、いつもより約21,000kcalも多く食べる必要がある計算です。
数日の間にこれだけ食べすぎるのは、現実的にはかなり難しいことです。
短期間の体重の変化は、脂肪以外の部分が中心
実際に、普段の生活の中での2週間の体重の変化を調べた研究では、体重の変化の大部分は脂肪以外の部分(水分など)の変化で、1〜3kgの短期間の体重変化のエネルギーは、1kgあたり平均約2,380kcalにとどまっていました。
体脂肪1kgの約7,000kcalと比べると、短期間の体重変化の中身は、脂肪だけではないことが分かります。
増えた体重の正体「グリコーゲンと水分」
グリコーゲンとは
食事でとった糖質の一部は、グリコーゲンという形で肝臓や筋肉に蓄えられます。
ただし、その量はそれほど多くありません。
グリコーゲンは水分と一緒に蓄えられる
研究によると、グリコーゲンは1gあたり3〜4倍の水分と一緒に、水を含んだ形で蓄えられています。
別の研究でも、グリコーゲン1gに対して約3.2gの水分が伴うと報告されています。
お正月にお餅やごちそうで糖質を多くとると、グリコーゲンが増え、それと一緒に水分も体にたまるため、体重が増えやすくなります。
塩分の多い食事もむくみの原因に
また、塩分をとりすぎると、むくみが悪化することがあります。
おせち料理や外食など、味の濃い食事が続くことも、体重が一時的に増える理由の一つです。
余ったエネルギーが体脂肪になるまで
糖質は、肝臓や筋肉に少量のグリコーゲンとして蓄えられるだけで、余分なエネルギーのほとんどは脂肪として体の中に蓄えられます。
エネルギーをとる量が使う量を上回る状態が続けば体重は増え、反対に、使う量が上回る状態では体重は減っていきます。
つまり、数日の食べすぎで増えた分の多くは水分とグリコーゲンでも、食べすぎの状態が続けば、少しずつ体脂肪として定着していきます。
だからこそ、お正月が明けたら、早めにいつもの食事と生活リズムに戻すことが大切です。
一度増えた脂肪細胞とリバウンドの関係は、一度太ると痩せにくい?脂肪細胞とリバウンドの仕組みで紹介しています。
焦って食事を抜かずに、いつもの生活に戻す
水分とグリコーゲンによる増加は、いつもの食事に戻せば少しずつ落ち着いていきます。
一方で、「食べすぎたから」と食事を抜いたり極端に減らしたりすると、体に必要な栄養素が足りなくなってしまいます。
・食事を抜かず、主食・主菜・副菜のそろった食事に戻す
・味の濃い食事を控え、野菜を意識してとる
・起きる時間と食事の時間を元に戻す
・ウォーキングや軽めの筋トレなど、体を動かす習慣を再開する
具体的な整え方は、お正月太りの戻し方|食事を抜かずに整える4つの習慣で詳しく紹介しています。
まとめ|体重計の数字に一喜一憂しすぎない
お正月に増えた体重の多くは、グリコーゲンと一緒にたまった水分によるもので、すべてが脂肪になったわけではありません。
体脂肪1kgは約7,000kcal分なので、数日で何kgも脂肪が増えることはまずありません。
ただし、食べすぎの状態が続けば体脂肪として定着していくので、早めにいつもの食事と生活リズムに戻しましょう。
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参考資料
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 身体活動とエネルギー・栄養素について」(2024)https://www.mhlw.go.jp/content/001195876.pdf
Kreitzman SN, et al.「Glycogen storage: illusions of easy weight loss, excessive weight regain, and distortions in estimates of body composition」The American Journal of Clinical Nutrition(1992)https://europepmc.org/article/MED/1615908
Chan ST, et al.「Early weight gain and glycogen-obligated water during nutritional rehabilitation」Human Nutrition: Clinical Nutrition(1982)https://europepmc.org/article/MED/6811511
Bhutani S, et al.「Composition of two-week change in body weight under unrestricted free-living conditions」Physiological Reports(2017)https://europepmc.org/article/MED/28676555
長寿科学振興財団 健康長寿ネット「三大栄養素の炭水化物の働きと1日の摂取量」(2024年更新)https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tansuikabutsu.html
MSDマニュアル家庭版「腫れ(浮腫)」(2024年)https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/06-心臓と血管の病気/心臓と血管の病気の症状/腫れ
