
最近、健康に気をつける人が増えていて、いろいろな食事法が話題になっていますよね。
そんな中で注目されているのが、医師・山田悟さんの本『脂質起動』(サンマーク出版、2025年)です。
山田さんは北里大学北里研究所病院の糖尿病センター長で、ゆるやかな糖質制限「ロカボ」を提唱してきた糖尿病の専門医です。
この本では、「脂質(あぶら)は体に悪い」というこれまでの常識をくつがえす考え方が紹介されています。
今回は、本の考え方をわかりやすく紹介するとともに、国の基準や学会の考え方と比べたときのポイント、40代からの取り入れ方をトレーナーの視点からお伝えします。
「脂質起動」ってなに?簡単に言うと…
山田さんは前作『糖質疲労』で、糖質の摂りすぎによる食後の眠気やだるさについて紹介しました。
前作では「糖質を減らす」ことが中心でしたが、「では、減らした分は何を食べればいいの?」という疑問に答えるのが今回の『脂質起動』です。
その答えが、「糖質を控えた分、脂質をしっかり摂る」という考え方です。
出版社の紹介によると、本のポイントは次のとおりです。
・血糖値を上げるのは三大栄養素のうち糖質だけで、たんぱく質と脂質は血糖値を上げない
・糖質を控えて脂質を摂ることで、体が脂質をエネルギー源として使いやすくなる
・脂質は血糖値の上昇にブレーキをかけ、体についた脂肪を燃やしやすくする
・ただし、「絶対に避けるべきアブラ」もある
糖質と血糖値の関係については、厚生労働省のe-ヘルスネットでも、食後に血糖値が上がるとインスリンが分泌され、余ったブドウ糖は中性脂肪などに作り替えられて蓄えられると説明されています。
山田さんが提唱するゆるやかな糖質制限「ロカボ」については、山田悟先生が推奨する「ロカボ」って何?「糖質疲労」についても解説で詳しく紹介しています。
国の基準や学会の考え方と比べてみると
『脂質起動』は「脂質は悪者ではない」という主張ですが、国の基準や専門の学会は、脂質についてどう考えているのでしょうか。
本の内容を実践する前に、知っておきたいポイントを整理します。
① 脂質の量の目安
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、脂質は1日の摂取エネルギーの20〜30%、炭水化物は50〜65%が目標量とされています。
脂質を「減らせば減らすほどよい」とはしていない点は、本の考え方と共通しています。
② 脂質の「種類」は大切
一方で、同じ基準では、肉の脂やバターなどに多い飽和脂肪酸は、18歳以上で1日の摂取エネルギーの7%以下が目標量とされています。
日本動脈硬化学会も、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高い方には、飽和脂肪酸の摂りすぎに注意し、魚や大豆製品、野菜、海藻を取り入れた日本食パターンの食事(The Japan Diet)を勧めています。
また、日本糖尿病学会のガイドラインでも、脂質異常症のある方には、一価・多価不飽和脂肪酸(オリーブオイルや魚の脂など)と食物繊維を摂ることが推奨されています。
つまり、「脂質を摂ること」自体よりも、「どんな脂質を摂るか」が大切というのが専門家の共通した考え方です。
③ コレステロールの考え方
食事から摂るコレステロールについては、日本動脈硬化学会が、健康な方では食事のコレステロールと血液中のコレステロールの関係を示す証拠が十分ではないとする国の考え方に賛同しています。
ただし、これはLDLコレステロールが高い方には当てはまらず、その場合は1日200mg以下を目安に控えることが勧められています。
④ 糖質を控える期間
日本糖尿病学会のガイドラインでは、2型糖尿病の血糖コントロールのために、6〜12か月以内の短い期間であれば炭水化物の制限は有効とされています。
長く続けたときの効果や安全性は、まだはっきりしていません。
40代からの女性が取り入れるなら
40代を過ぎると、健康診断でLDLコレステロールや中性脂肪、血糖値の数値が気になり始める方も多いのではないでしょうか。
本の考え方を取り入れるなら、次のような「いいとこ取り」がおすすめです。
・甘い飲み物やお菓子、主食の食べすぎなど、糖質の摂りすぎを見直す
・脂質は、魚やオリーブオイル、ナッツ、大豆製品など「質のよい脂」を中心に選ぶ
・肉の脂身やバターなど、飽和脂肪酸の多い食品はとりすぎない
・トランス脂肪酸はできるだけ控える(国の基準では、1日の摂取エネルギーの1%未満に留めることが望ましいとされています)
・野菜やきのこ、海藻で食物繊維もしっかり摂る
なお、糖尿病などで薬を飲んでいる方、腎臓の病気や脂質異常症のある方は、食事のバランスを大きく変える前に、必ず主治医に相談してください。
脂質の選び方については脂質の「減らしすぎ」は逆効果?健康と美しさを守る「良質な油」の選び方、魚の脂についてはオメガ3とオメガ6のバランス|油の摂り方を見直すもあわせてご覧ください。
まとめ:自分に合った方法を見つけよう
『脂質起動』は、「脂質は悪者」というイメージを見直すきっかけをくれる本です。
一方で、国の基準や学会は、脂質の量だけでなく「種類」を大切にしています。
どんな食事法も「これさえやればOK」というものではありません。
大切なのは、
・自分の体調や生活スタイルに合っているか
・栄養のバランスがとれているか
・健康診断の数値を見ながら、必要に応じて医師や管理栄養士に相談しているか
ということです。
健康的な食生活は、無理なく続けられることが一番です。
まずは少しずつ試して、体の変化や健康診断の数値を見ながら調整していきましょう。
アップルフィット倉敷では、完全個室で経験豊富な女性トレーナーが、トレーニングだけでなく、普段の食事のバランスについても一緒に考えていきます。
食事や生活習慣のご相談は無料です。
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参考資料
サンマーク出版 SUNMARK WEB「脂質は悪者じゃない! からだの脂肪を“燃料”に変える『脂質起動』が病気連鎖を断ち切る」(2025年)https://sunmarkweb.com/n/n91eac8b5c1a8
紀伊國屋書店ウェブストア「脂質起動―脂肪が燃える体は疲れない、太らない」(書誌情報・目次)https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784763142221
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(2024年)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
厚生労働省 e-ヘルスネット「インスリン」(2024年)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-011.html
日本動脈硬化学会「コレステロール摂取量に関する声明」(2015年)https://www.j-athero.org/jp/outline/cholesterol_150501/
日本動脈硬化学会「The Japan Diet 食生活を見直しましょう」https://www.j-athero.org/jp/general/9_japandiet/
日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」CQ・ステートメント・推奨グレード一覧(2024年)https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/00_07.pdf
