
筋トレやスポーツをした翌日、起き上がるのがつらいほどの筋肉痛になった経験はありませんか。
また、運動中に脚が急に痛み、「肉離れかも」と不安になった方もいらっしゃるかもしれません。
筋肉痛も肉離れも、治るまでは階段の上り下りや家事など、日々の生活がしづらくなりますよね。
できれば早く治したい、というのが本音だと思います。
実は、筋肉痛と肉離れは原因も対処法も違うものです。
今回は、2つの見分け方と、回復を支える過ごし方・食事のポイント、医療機関を受診する目安をお伝えします。
筋肉痛と肉離れは別のもの
まずは、2つの違いを整理しておきましょう。
筋肉痛は、慣れない運動や負荷の大きい運動をしたあと、翌日以降に痛みが出てくるものです。
筋肉の線維やその周りの組織に細かい傷がつき、炎症が起こることで痛むと考えられています。
痛みは運動後3〜7日ほどで徐々におさまります。
一方の肉離れは、筋肉が断裂するけがで、医学的には「挫傷」と呼ばれます。
走っているときに急に方向を変えたり、重りを急に引き上げたりしたときなどに起こることがあり、多くはその場で痛みが出ます。
肉離れには、線維が伸びた程度の軽いものから、すべての線維が断裂する重いものまで段階があります。
「運動の翌日以降にじわじわ痛む」なら筋肉痛、「運動中に急に痛んで、その部分を使えない・腫れやあざがある」なら肉離れを疑う、というのがひとつの目安です。
筋肉痛はなぜ起こる?回復を助ける過ごし方
以前は「疲労物質の乳酸がたまって筋肉痛になる」と言われていましたが、現在では、乳酸そのものが筋肉痛の原因になるわけではないと考えられています。
筋肉痛が起こりやすいのは、筋肉が引き伸ばされながら力を出す動き(伸張性収縮)を繰り返したときです。
たとえば、下り坂を歩くときの太ももの前側や、ダンベルをゆっくり下ろすときの腕の筋肉などがこれにあたります。
運動をしてから痛みを感じるまでにいくつかの過程があるため、時間差で「遅れて」痛みが出てくると考えられています。
筋肉痛の痛みは、傷ついた筋肉が修復される過程で起こっています。
回復を助けるためには、次のような過ごし方がすすめられています。
血行を促す
ストレッチや軽いマッサージ、軽い運動、ぬるめのお湯での入浴など、血行を促すことを取り入れましょう。
痛いからといってまったく動かないよりも、無理のない範囲で体を動かすほうがよいとされています。
しっかり食べて、しっかり休む
バランスの良い食事と十分な休養をとり、体が回復する働きを支えることも大切です。
なお、筋肉痛がある部分に強い痛みや腫れがある場合は、冷やす・安静にする・圧迫する・高く上げる、といった炎症を鎮める対処を行いましょう。
トレーニングと休息のバランスについては、筋トレは毎日やるべき?40代からの適切な頻度と休息の考え方で詳しく解説しています。
肉離れかもしれないときの応急処置と受診の目安
肉離れが疑われるときは、筋肉痛と同じように「動かして治す」のではなく、まず患部を守ることが大切です。
応急処置は「PRICE」
けがをした筋肉の手当てとして、保護(Protection)、安静(Rest)、氷冷(Ice)、圧迫(Compression)、挙上(Elevation)の頭文字をとった「PRICE」という方法があります。
保護と安静:けがをした部分に体重をかけたり動かしたりせず、それ以上傷めないようにします。
氷冷:ビニール袋に入れるかタオルで包んだ氷を、1回15〜20分ほど患部に当てます。最初の24〜48時間は、できるだけこまめに冷やします。
圧迫:弾性包帯などで軽く圧迫し、腫れを抑えます。
挙上:最初の2日間は、患部をできるだけ心臓より高い位置に上げておきます。
こんなときは医療機関へ
次のような場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
・けがをした脚に体重をかけられない、患部を動かせない
・腫れやあざが大きい、痛みが強い
・しびれがある、皮膚が冷たい・青白いなど、いつもと違う感覚がある
・応急処置をしても痛みや腫れが引かない
筋肉の部分的な断裂は多くが自然に治りますが、完全に断裂している場合は手術が必要になることもあります。
また、治るまでの期間は、けがの程度や年齢などによって数週間から数か月と幅があります。
一方で、長く動かさずにいると関節が硬くなったり筋肉が細くなったりするため、医師の指示に沿って少しずつ動かしていくことも回復の大切な一歩です。
回復を支える食事のポイント
筋肉痛でも肉離れでも、傷ついた組織を修復するのは体そのものです。
その材料をきちんと届けることが、回復を支える土台になります。
食事を極端に減らさない
ダイエット中の方は、筋肉痛のときこそ食事を極端に減らさないようにしましょう。
体の材料となる栄養が足りないと、たんぱく質不足から筋力の低下にもつながります。
たんぱく質を毎食とる
筋肉の材料になるのは、たんぱく質が分解されてできるアミノ酸です。
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、18歳以上の女性のたんぱく質の推奨量は1日50gとされています。
肉・魚・卵・大豆製品・乳製品は、必須アミノ酸をバランスよく含む良質なたんぱく源です。
ごはんやパンなどの穀類も、これらと組み合わせることでアミノ酸のバランスがよくなります。
特定の食品に偏らず、毎食いずれかを取り入れるのがおすすめです。
1日に必要な量の考え方は、タンパク質、足りていますか?食べているのに不足する理由と必要量で詳しく紹介しています。
ビタミンCで「つなぐ組織」を支える
ビタミンCは、骨や腱などの結合組織をつくるたんぱく質「コラーゲン」の生成に欠かせない栄養素です。
成人の推奨量は1日100mgで、ピーマンやブロッコリー、キウイフルーツ、いちごなどの野菜や果物に多く含まれています。
サプリメントに頼るよりも、まずは通常の食事からとることが基本とされています。
トレーニング期の食事全体のバランスについては、筋肉の成長と回復をサポートするための栄養をバランスよく摂取もあわせてご覧ください。
筋肉痛やけがを繰り返さないために
筋肉痛や肉離れは、日頃の準備で起こりにくくすることができます。
・運動前はストレッチや軽い体操で体を温め、筋肉の柔軟性を高める
・いきなり激しい運動をせず、軽い負荷から段階的に上げていく
・運動後もストレッチや軽い運動でクールダウンする
・日頃から体を動かす習慣を持ち、筋力トレーニングで傷つきにくい筋肉をつくる
特に、久しぶりに運動を再開する方や、40代以降で運動を始める方は、「頑張りすぎない」ことがいちばんの予防になります。
ジムデビュー前に知っておきたい注意点は、トレーニング中の事故が増加中!ジム初心者が気をつけたいケガ予防と安全な始め方にまとめています。
ストレッチの種類と使い分けは、ストレッチは使い分けが大事|動的・静的の違いと効果が参考になります。
最後に、ポイントをおさらいしておきましょう。
筋肉痛は運動の翌日以降に出て、3〜7日ほどで徐々におさまるもの。
肉離れは筋肉が断裂するけがで、まずはPRICEで患部を守り、症状によっては医療機関を受診することが大切です。
どちらも、たんぱく質やビタミンCを含むバランスの良い食事と、十分な休養が回復を支えます。
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参考資料
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「筋肉痛の予防と治す方法」(2021年更新)https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/undou-shougai/kinnikutsu.html
MSDマニュアル家庭版「ねんざとその他の軟部組織損傷の概要」(2025年)https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/25-外傷と中毒/ねんざとその他の軟部組織のけが/ねんざとその他の軟部組織損傷の概要
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量」(2025年更新・日本人の食事摂取基準2025年版に基づく)https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tanpaku-amino.html
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「ビタミンCの働きと1日の摂取量」(2025年更新・日本人の食事摂取基準2025年版に基づく)https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-c.html
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(2024年)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
