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ベンチプレスは、男性に人気の種目です。
一方で、女性が取り組んでいる姿はあまり見かけません。「ゴツゴツした印象になりそう」「そもそも自分には必要ない」。そんな理由をお持ちの方が多いのではないでしょうか。
けれどベンチプレスは、女性にもお勧めしたい種目です。
その理由は、多くの方が思っているものとは少し違います。今回はそのお話をします。
まず前提となる話から。
骨粗しょう症は、骨の密度が下がって骨がもろくなり、骨折しやすくなる状態です。加齢や女性ホルモンの減少が関わるため、特に女性に多いとされています。
怖いのは骨折そのものより、その後です。転んだだけで骨折し、歩けなくなる。そこから寝たきりにつながることもあります。日常生活への影響が非常に大きい病気です。
ここが今回、最もお伝えしたい点です。
骨は、負荷がかかった部位が強くなります。運動をすれば全身の骨がまとめて強くなる、というわけではありません。
研究では、スクワットやデッドリフトのように体重を支える種目で、腰椎(腰の骨)や大腿骨(脚の付け根)の骨密度が向上することが確認されています。これらの部位に直接、荷重がかかるためです。
そして骨粗しょう症で最も問題になるのが、この腰椎と大腿骨です。折れると歩けなくなる部位だからです。
■ では、ベンチプレスはどうか
ベンチプレスは仰向けに寝て行います。脊椎や脚に体重の負荷はかかりません。刺激が入るのは主に腕や胸まわりの骨です。
つまり骨密度を守るという目的では、ベンチプレスは主役ではありません。主役はスクワットをはじめとする下半身の種目です。
下半身のトレーニングについてはスクワットで将来も動ける身体へ!下半身トレーニングのメリットを解説、骨密度の全体像は骨密度の低下を防ぐには?運動と栄養で丈夫な身体づくりを目指そうをご覧ください。
「では、やらなくていいのでは?」
そう思われたかもしれません。けれど上半身には、下半身とは別の役割があります。
骨を強くすることと同じくらい大切なのが、骨折そのものを防ぐことです。
高齢の女性に多い骨折の一つに、手首の骨折があります。転んだときに手をついて折れるケースです。
このとき、腕で体重を受け止められるだけの筋力があるかどうかで結果は変わります。とっさに手をつく、その衝撃に耐える。これは上半身の仕事です。
骨を強くする運動と、転倒したときに身を守る筋力。この両方が揃って、はじめて骨折を防げます。
もう一つ、見過ごされがちなことがあります。
胸や肩、腕の筋力が落ちると、うつ伏せの状態から床を押して起き上がれなくなります。
想像してみてください。転んで床に倒れたとき、自力で起き上がれるかどうか。これは押す力、つまり上半身の筋力に直結します。
ほかにも、日常には「押す動作」があふれています。
・重い扉を開ける
・布団を持ち上げる
・高い棚に物を上げる
・お風呂の縁に手をついて立ち上がる
これらが「よいしょ」と力が必要になってきたなら、上半身の筋力が落ちてきているサインかもしれません。
多くの方が心配される点ですが、その必要はありません。
女性は筋肉を大きくするホルモンの分泌が男性より大幅に少なく、意図的に長期間取り組んでも、筋肉が目立って大きくなることはほとんどありません。40代以降なら、なおさらです。
実際に起きるのは、姿勢が保ちやすくなり、上半身の印象が引き締まるという変化です。
なお、胸まわりの筋肉を使うことで姿勢の改善や、肩まわりの張りの軽減が期待できるという声もいただきます。
ここまでお勧めしてきましたが、例外があります。
『猿腕(さるうで)』をご存じでしょうか。
腕を伸ばして小指同士をつけたとき、手から肘までがぴったりくっついてしまう方。あるいは腕を伸ばしきったときに、まっすぐより外側に曲がってしまう方。こうした特徴を猿腕と呼びます。
この場合、肘を伸ばしきる種目(ベンチプレスや腕立て伏せなど)はお勧めできません。肘に負担が集中しやすいためです。
代わりにダンベルフライのような、肘を伸ばしきらずに胸を使える種目が有効です。同じ目的を、別の方法で達成できます。
こうした個人差は、ご自身では気づきにくいものです。
ベンチプレスは、実はひとりで行うには注意が必要な種目です。
・重さを持ち上げられなくなったとき、自力で戻せない
・フォームが崩れると肩を痛めやすい
・そもそも適切な重さの判断が難しい
「やってみたいけれど不安」と感じるのは自然なことです。
アップルフィット倉敷に通われている方の多くは40代以上の女性です。「短期間で何キロ落としたい」という方よりも、「この先も自分の足で元気に動いていたい」「検査では異常が出ないけれど、なんとなくの不調を整えたい」という理由でお越しになります。
完全個室で、経験豊富な女性トレーナーが補助につきます。肘や肩の状態、猿腕の有無を確認したうえで、その方に合う種目と重さを選びます。無理にベンチプレスをお勧めすることもありません。
トレーニングしている姿を人に見られる心配もありません。
・骨を強くする効果には部位特異性がある
・骨密度を守る主役は、スクワットなど下半身の種目
・ベンチプレスの価値は転倒時に体を支える力と日常の「押す動作」
・床から起き上がれるかは、上半身の筋力に直結する
・女性がゴツくなることは、まず起こらない
・猿腕の方は、ダンベルフライなど代わりの種目を
骨を強くすることと、転んだときに身を守ること。その両方があってはじめて骨折を防げます。
5年後10年後も心地よく動ける体を、無理のないペースでつくっていきましょう。