
「食べる量を減らしているのに、なぜか体脂肪が落ちない」
そんなとき、「脂肪を燃やす栄養素が足りないのかも」と考えたことはありませんか。
L-カルニチン、ビタミンB2、コエンザイムQ10。
どれも「脂肪燃焼」の文脈でよく名前が挙がり、サプリメントとしても売られている成分です。
確かに、この3つは体の中でエネルギーを作る仕組みに関わっています。
でも、「足りないから痩せない」「サプリでとれば痩せやすくなる」というのは、本当なのでしょうか。
この記事では、それぞれの役割と、公的機関がまとめている研究の結論を見ていきます。
3つの栄養素は、体の中で何をしているの?
体脂肪がエネルギーとして使われるとき、脂肪から分解された脂肪酸は、細胞の中のミトコンドリアに運ばれて燃やされます。
L-カルニチンは、この脂肪酸をミトコンドリアの中へ運ぶ役割を担っています。
ビタミンB2は、体内でFADなどの形に変わり、エネルギーを作る反応を助ける補酵素として働きます。
コエンザイムQ10は、もともと体内に存在する物質で、心臓や肝臓などに多く含まれています。
つまり、3つとも「エネルギー代謝に関わる」のは事実です。
ただし、「仕組みに関わっている」ことと、「多くとるほど脂肪が燃える」ことは別の話です。
脂肪がエネルギーに変わるまでの流れは、体脂肪を効率よく燃やす!鍵となる主要成分と役割でも紹介しています。
L-カルニチン|健康な人は体内で十分に作られている
L-カルニチンは、肉や魚、乳製品などの動物性食品、特に赤身の肉に多く含まれます。
一方で、L-カルニチンは肝臓や腎臓などで、アミノ酸から体内でも合成されます。
米国国立衛生研究所(NIH)の情報を翻訳した厚生労働省の統合医療情報サイト(eJIM)によると、健康な成人は体内で必要量を十分に作れるため、食品やサプリメントからとる必要はないとされています。
不足が問題になるのは、早産の赤ちゃんや、腎臓の病気で透析を受けている方など、特定の条件がある場合です。
では、サプリメントで体重は減るのでしょうか。
成人を対象とした9件の試験(参加者911人)をまとめた2016年の分析では、L-カルニチンを1日1.8〜4gとった人は、偽薬の人より平均1.33kg多く体重が減ったと報告されています。
ただし、同じ情報の中で、効果を判断するにはより大規模な研究が必要だと結論づけられています。
また、1日3g程度とると、吐き気や下痢、魚のような体臭が出ることがあるとされています。
「脂肪燃焼のためにサプリで足す」より、普段の食事でたんぱく質源をきちんととることを優先しましょう。
ビタミンB2|食事から毎日とりたい栄養素
3つの中で、食事からとる必要がはっきりしているのがビタミンB2です。
ビタミンB2は体内でエネルギーを作る補酵素として働くため、国の食事摂取基準でも、エネルギー消費量をもとに必要量が計算されています。
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、推奨量は次のとおりです。
・18〜64歳の女性:1日1.2mg
・65〜74歳の女性:1日1.1mg
2019年の国民健康・栄養調査では、女性の平均摂取量は1日0.87mgでした。
なお、この推奨量は、欠乏症を防ぐ最小限の量ではなく、体内が十分に満たされる量をもとに決められています。
そのため、推奨量を下回っていてもすぐに不調が出るわけではありませんが、食事量を減らしているときほど意識したい栄養素です。
ビタミンB2を多く含む食品の例です(1食あたりの目安)。
・納豆1パック(40g):0.22mg
・普通牛乳コップ1杯(200g):0.30mg
・ぶりの焼き魚(80g):0.31mg
・ゆで卵1個(55g):0.18mg
・豚ヒレ肉(焼き100g):0.44mg
肉・魚・卵・乳製品・大豆製品を毎食少しずつ組み合わせると、無理なく近づけることができます。
ビタミンB2は水に溶けるビタミンで、とりすぎた分は尿に出ていくため、過剰の心配は少ないとされています。
コエンザイムQ10|体重への効果は確認されていない
コエンザイムQ10は医薬品としても使われている成分で、健康食品では「疲れにくくなる」「ダイエットによい」といった宣伝を目にすることがあります。
しかし、国立健康・栄養研究所が研究を調べたところ、肥満への影響を検討した研究は見当たらず、現時点では肥満や美容への効果の根拠は十分でないとされています。
また、健康食品は品質や含有量にばらつきがあり、医薬品と同じ効果や安全性が期待できるとは限りません。
血圧を下げる薬やワルファリン(血液を固まりにくくする薬)の効き目に影響する可能性も指摘されています。
お薬を飲んでいる方は、自己判断で始めず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
体脂肪が落ちない本当の原因はどこにある?
ここまで見てきたように、3つの栄養素が「足りないせいで痩せない」というケースは、健康な方ではあまり考えにくいのが実際のところです。
国の食事摂取基準でも、エネルギーのとりすぎや不足は、体重の変化やBMIで評価するとされています。
体脂肪が落ちないときに見直したいのは、特定の栄養素よりも、
・実際に食べている量(飲み物や間食を含む)
・たんぱく質が足りているか
・筋肉量が減っていないか
・睡眠やお酒の習慣
といった、毎日の積み重ねです。
具体的な原因と対策は、カロリー制限をしているのに体重が落ちない?40代から見直したい6つの原因で詳しくまとめています。
たんぱく質の必要量については、タンパク質、足りていますか?食べているのに不足する理由と必要量もあわせてご覧ください。
サプリより先に、食事と運動の土台づくりを
体脂肪を減らしたいとき、「何をプラスすれば燃えるか」に目が向きがちです。
けれど、40代・50代からの体づくりで大切なのは、食事を極端に減らさず、必要な栄養をとりながら、筋肉を保つ運動を続けることです。
その積み重ねが、5年後、10年後も元気に動ける体につながっていきます。
アップルフィット倉敷では、完全個室で、経験豊富な女性トレーナーがマンツーマンで指導しています。
体成分測定で筋肉量や体脂肪の変化を確認しながら、普段の食事内容をうかがい、無理なく続けられる食事と運動の組み立て方をご提案します。
「サプリを飲むべきか迷っている」「何から見直せばいいかわからない」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。
参考資料
厚生労働省 統合医療情報発信サイト(eJIM)「カルニチン」(米国国立衛生研究所 ダイエタリーサプリメント室ファクトシートの日本語訳)https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c03/02.html
米国国立衛生研究所 ダイエタリーサプリメント室「Carnitine: Fact Sheet for Health Professionals」(2023年)https://ods.od.nih.gov/factsheets/Carnitine-HealthProfessional/
国立健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報「ビタミンB2」https://hfnet.nibn.go.jp/vitamin/detail175/
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(2024年)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
国立健康・栄養研究所「コエンザイムQ10について」(パンフレット)https://hfnet.nibiohn.go.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/200831coen.pdf
厚生労働省 統合医療情報発信サイト(eJIM)「コエンザイムQ10」https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c03/23.html
