
「よく鍛えている人ほど、意外と風邪をひきやすい」。
そんな話を聞いたことはありませんか。
トレーニングをがんばっている方なら、一度は気になったことがあるかもしれませんね。
今回は、運動と免疫の関係について、研究でわかっていることと、風邪に負けない体づくりのためのポイントをお伝えします。
「激しい運動の後は免疫が下がる」説とは
激しい運動の後には、数時間〜数日の間、免疫の働きが一時的に下がり、風邪などにかかりやすくなる、という考え方があります。
これは「オープンウィンドウ(開いた窓)」説と呼ばれ、長い間広く信じられてきました。
きっかけの一つは、ウルトラマラソンなどの長距離レースの後に、鼻水やのどの痛みといった上気道の症状を訴える選手が多かったという報告です。
最近の研究でわかってきたこと
ところが、近年の研究では、この説を見直す考え方が出てきています。
2018年に発表された研究のまとめ(レビュー)では、次のような点が指摘されています。
・激しい運動が感染症のリスクを高めるという信頼できる証拠は、限られている
・運動後に血液中の免疫細胞が一時的に減るのは、免疫が弱まったのではなく、免疫細胞が体のあちこちの組織へ移動して見張りを強めている状態と考えられる
・定期的な運動は、免疫の働きを弱めるのではなく、むしろ高める
つまり、「1回の激しい運動で免疫が大きく下がる」とは言い切れず、習慣的な運動はむしろ体を守る力を支えてくれると考えられるようになってきています。
それでも「やり過ぎ」には注意が必要な理由
ただし、「どれだけ追い込んでも大丈夫」というわけではありません。
運動の疲れが十分に回復しないまま積み重なると、常に疲れを感じる「オーバートレーニング症候群」という状態になることがあります。
こんなサインが出ていたら要注意
体に現れるサインとして、次のようなものが挙げられています。
・筋肉痛や疲れがなかなか回復しない
・風邪などの感染症にかかりやすくなる
・寝つきが悪くなる、食欲が落ちる
・意欲が低下する、イライラする、気分が落ち込む
また、朝起きたときの心拍数が、ふだんより1分間に10拍以上増えている場合は、疲れがたまっているサインのことがあります。
疲れを感じたら、負荷を軽くする・休む
体調が悪いときは、トレーニングの負荷を軽くする、時間を短くする、思い切って休むなどして、栄養と休養をしっかりとることが大切です。
風邪をひきにくい体をつくるためのポイント
1.筋トレは週2〜3日、休息日をはさんで
国の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、筋力トレーニングを週2〜3日行うことがすすめられています。
筋トレをしたら、しっかりと筋肉を休める日をとることも同じくらい大切です。
同じガイドでは、筋トレの時間が長くなりすぎると、かえって健康によい効果が得られなくなる可能性も示されています。
2.「心地よい〜ややきつい」くらいの強度で
1セット終わって少し息が上がるけれど、心地よい達成感がある。
そのくらいの強度を目安に、翌日に大きな疲れを残さない範囲で続けましょう。
立っていられないほどの極端な疲れが続くようなら、やり過ぎのサインです。
3.しっかり眠る
国の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、良い睡眠は免疫などの健康の維持に重要とされています。
成人は6時間以上を目安に、自分に必要な睡眠時間を確保しましょう。
4.栄養をしっかりとる
トレーニングの疲れから回復するためには、バランスのよい食事が欠かせません。
食事を極端に減らしているときほど、体調を崩しやすくなるので注意しましょう。
冬の体調管理と運動の組み合わせ方は、パーソナルジムが冬の体調管理に役立つ3つの理由|運動と感染対策の上手な組み合わせ方で、筋肉の体を守る働きは筋肉は何をしている?体を動かす以外の5つの働きで紹介しています。
まとめ
「激しい運動の後は免疫が下がる」という説は、近年の研究で見直されつつあり、習慣的な運動はむしろ体を守る力を支えると考えられています。
一方で、疲れが回復しないまま運動を続けると、感染症にかかりやすくなるなどのサインが出ることもあります。
週2〜3日の筋トレと休息日、心地よい強度、十分な睡眠と栄養。
このバランスを大切にしながら、無理なく続けていきましょう。
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参考資料
Campbell JP, Turner JE. “Debunking the Myth of Exercise-Induced Immune Suppression: Redefining the Impact of Exercise on Immunological Health Across the Lifespan.” Frontiers in Immunology(2018)https://www.frontiersin.org/journals/immunology/articles/10.3389/fimmu.2018.00648/full
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「オーバートレーニング症候群とは」(2025年更新)https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/undou-shougai/over-training.html
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 筋力トレーニングについて」(2024年)https://www.mhlw.go.jp/content/001195869.pdf
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(2024年)https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
