
前編では、認知症のリスクを下げるには、脳トレだけでなく「運動」が大切であることをお伝えしました。
まだ前編をご覧になっていない方は、脳トレで認知症の予防ができる?~前編~もあわせてご覧ください。
後編では、毎日の「食事」を中心に、脳の健康を守るために今日からできる生活習慣を解説します。
それでは見ていきましょう。
認知症の「予防」とは、発症を遅らせること
はじめに、「予防」という言葉の意味を確認しておきましょう。
国の認知症施策推進大綱では、予防とは「認知症にならない」という意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味だと説明されています。
そのうえで、運動不足の改善、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防、社会参加による孤立の解消などが、認知症の発症を遅らせる可能性があるとされています。
また、2024年に発表された医学誌ランセットの専門家委員会の報告では、認知症のリスクを高める要因として14項目が挙げられました。
教育歴の短さ、難聴、高血圧、喫煙、肥満、うつ、運動不足、糖尿病、過度の飲酒、頭部外傷、大気汚染、社会的孤立に、新たに未治療の視力低下とLDLコレステロールの高値が加わっています。
WHOも2026年に、認知症のリスクの最大45%は、こうした変えることのできる要因によるものだと発表しています。
このうち多くは、毎日の生活習慣や健康診断の数値と深く関わっています。
つまり、認知症のリスクを下げる取り組みは、40代、50代からの体づくりと重なっているのです。
食事は「特定の食品」より「全体のバランス」
「脳にいい食べ物」と聞くと、何か特別な食品やサプリメントを思い浮かべるかもしれません。
しかし、2026年に改訂された世界保健機関(WHO)の認知症リスク低減のガイドラインで勧められているのは、特定の食品ではなく「健康的な食事」です。
毎日の食事では、まず主食・主菜・副菜をそろえたバランスのよい食事を基本にしましょう。
厚生労働省のe-ヘルスネットでも、体重管理に取り組む際は、特定の食品を抜いたり極端に食事量を減らしたりせず、食材の選び方や調理法、お菓子やアルコールのとり方を見直すことが勧められています。
さらに、高血圧や糖尿病、高コレステロールといった病気の管理も、WHOのガイドラインで認知症のリスクを下げる取り組みとして挙げられています。
健康診断でコレステロールや血糖値を指摘されている方は、数値の改善に取り組むことが、脳を守ることにもつながると考えられます。
LDLコレステロールの見方は、脂質異常症とは?健康診断の結果を放置してはいけない理由と改善のメカニズムで詳しく解説しています。
サプリメントや話題の食事法との付き合い方
脳の健康をうたうサプリメントや食事法は数多くあります。
ですが、WHOのガイドラインでは、欠乏症と診断されていない場合、ビタミンB群やビタミンE、オメガ3脂肪酸、マルチビタミン・ミネラルのサプリメントは、認知機能の低下や認知症のリスクを下げる目的では勧められないとされています。
効果が期待できるという根拠がなく、思わぬ害を上回る利益が示されていないためです。
「これさえとれば大丈夫」という近道はなく、食事全体を整えることが基本です。
また、MCTオイルや、糖質を大きく減らすケトジェニックダイエットが、脳のエネルギー源の話題とともに紹介されることがあります。
ただし、極端な糖質制限について長期の研究をまとめた報告では、体重がわずかに多く減った一方で、LDLコレステロールは上昇していました。
LDLコレステロールの高値は、先ほどの14項目にも含まれるリスク要因です。
持病のある方や薬を飲んでいる方は特に、食事法を大きく変える前に主治医に相談しましょう。
ケトジェニックダイエットの注意点は、ケトジェニックダイエットは本当に効果的?仕組みと注意点を研究から解説でまとめています。
運動・人とのつながり・こころの健康も大切に
食事と並んで欠かせないのが、運動です。
WHOのガイドラインでも、身体活動を増やすことが、認知症のリスクを下げる取り組みとして勧められています。
運動は、肥満や高血圧、糖尿病といった他のリスク要因の改善にも役立ちます。
さらに、ランセットの報告では、うつや社会的孤立、難聴もリスク要因に挙げられています。
WHOの改訂ガイドラインでも、社会的な活動や頭を使うトレーニングが勧められており、補聴器の活用も選択肢の一つとされています。
人と会って話す、聞こえにくさを感じたら耳鼻科で相談する、気分の落ち込みが続くときは専門家に相談する、といったことも、脳を守る大切な習慣です。
筋トレと脳の関係については、筋トレで脳も体も若返る!頭がよくなる理由と4つの健康メリットもご覧ください。
まとめ:脳を守る習慣は、体を守る習慣と同じ
認知症のリスクを下げるために、何か一つの魔法のような食べ物やパズルがあるわけではありません。
主食・主菜・副菜をそろえた食事、体を動かす習慣、健康診断の数値の管理、そして人とのつながり。
こうした毎日の積み重ねが、5年後、10年後の脳と体を守ることにつながります。
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体成分測定で体の状態を確認しながら、LINEでの生活習慣サポートで食事の相談にもお応えしています。
「将来のために、今から体と脳の健康を整えたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
参考資料
認知症施策推進関係閣僚会議「認知症施策推進大綱」(2019年)https://www.mhlw.go.jp/content/000522832.pdf
Livingston G, et al.「Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission」The Lancet(2024年)https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(24)01296-0/fulltext
World Health Organization「New WHO guidelines: up to 45% of dementia risk could be prevented or delayed」(2026年)https://www.who.int/news/item/15-07-2026-new-who-guidelines–up-to-45–of-dementia-risk-could-be-prevented-or-delayed
World Health Organization「Risk reduction of cognitive decline and dementia: WHO guidelines, second edition」(2026年)https://www.who.int/publications/i/item/9789240123557
厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満・メタボリックシンドローム予防の食事」(2025年)https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-02-009.html
Bueno NB, et al.「Very-low-carbohydrate ketogenic diet v. low-fat diet for long-term weight loss: a meta-analysis of randomised controlled trials」British Journal of Nutrition(2013年)https://www.cambridge.org/core/journals/british-journal-of-nutrition/article/verylowcarbohydrate-ketogenic-diet-v-lowfat-diet-for-longterm-weight-loss-a-metaanalysis-of-randomised-controlled-trials/6FD9F975BAFF1D46F84C8BA9CE860783
