
最近、ボディメイクや健康管理の話題でよく耳にする「ケトジェニックダイエット」。
アップルフィット倉敷のお客様からも、「自分に合っているのかな?」とご質問をいただく機会が増えています。
ご飯やパンなどの糖質(炭水化物)を大きく減らし、その分を脂質でとる食事法で、これまでのダイエットとは考え方が少し異なります。
今回は、ケトジェニックダイエットの仕組みと、研究からわかっている効果と注意点、そして取り入れる前に知っておきたいことを解説します。
ケトジェニックダイエットの仕組み
私たちの体は、ふだん食事からとった糖質を主なエネルギー源として使っています。
食事の糖質を大きく減らすと、体は代わりに脂肪を分解してエネルギーとして使うようになり、その過程で「ケトン体」という物質が血液中に増えます。
ケトジェニックダイエットは、この状態をつくることを目的に、糖質を極端に少なくする食事法です。
研究では、1日の炭水化物を50g以下にする食事を「超低炭水化物ケトン食」と定義しているものもあります。
研究でわかっている効果と、見落とされがちな変化
超低炭水化物ケトン食と、脂質を控えるカロリー制限食(低脂肪食)を比べた13件の研究を、1年以上の期間でまとめた分析(2013年)があります。
その結果、ケトン食のグループは、低脂肪食のグループに比べて次のような違いが見られました。
・体重:平均0.91kg多く減った
・中性脂肪:下がった
・拡張期血圧(下の血圧):下がった
・HDLコレステロール(善玉):上がった
・LDLコレステロール(悪玉):上がった
体重の差は約0.9kgで、研究者自身も、統計的には意味のある差だが、臨床的な意味(体への実際の影響の大きさ)は慎重に解釈する必要があると述べています。
そして見落とされがちなのが、LDLコレステロールが上がったという点です。
研究者は、その理由として飽和脂肪酸(肉の脂やバターなどに多い脂)をとる量が増えることを挙げています。
健康診断でLDLコレステロールを指摘されている方にとっては、特に注意したいポイントです。
国の基準や学会の考え方は?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、1日にとるエネルギーのうち、炭水化物は50〜65%、脂質は20〜30%が目標量とされています。
ケトジェニックダイエットは、この範囲から大きく外れる食事法です。
また、日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2024」では、2型糖尿病の血糖コントロールのために炭水化物を制限することは、6〜12か月以内の短い期間であれば有効とされています。
一方で、体重が多い2型糖尿病の方へのエネルギー摂取量の制限は、より強く推奨されています。
厚生労働省のe-ヘルスネットでも、減量に取り組むときは、特定の食品を抜いたり極端に食事量を減らしたりするのではなく、主食・主菜・副菜をそろえたバランスのよい食事を基本にすることがすすめられています。
同じページでは、3〜4%のゆるやかな減量でも健康診断の検査値は改善するといわれていると紹介されています。
こんな方は、自己判断で始めないでください
糖質を大きく減らす食事は、体の状態によっては危険を伴うことがあります。
次のような方は、必ず事前に主治医に相談してください。
・糖尿病の治療中の方(特に、インスリンやSGLT2阻害薬などの薬を使っている方)
・腎臓や肝臓の病気がある方
・脂質異常症(LDLコレステロールが高いなど)を指摘されている方
・妊娠中、授乳中の方
日本糖尿病学会は、SGLT2阻害薬という糖尿病の薬を使っている方で、極端な糖質制限が原因の一つとなって「ケトアシドーシス」という重い状態が起きた例があると注意をよびかけています。
ケトアシドーシスは、血液中のケトン体が増えて血液が酸性に傾く状態で、だるさや吐き気、腹痛などが起こり、命に関わることもあります。
また、薬を使っていない方でも、強いだるさや頭痛、吐き気などを感じたら無理に続けないでください。
40代からの体づくりで大切にしたいこと
ケトジェニックダイエットは、「長く続けたときの効果や安全性がまだはっきりしない」「LDLコレステロールが上がることがある」という点を知ったうえで判断したい食事法です。
40代・50代からは、健康診断でLDLコレステロールや血糖値が気になり始める方も多い時期です。
いきなり糖質を極端に減らすよりも、甘い飲み物やお菓子、主食のとりすぎを見直し、脂質は魚やオリーブオイル、大豆製品など質のよいものを選ぶといった、無理のない見直しから始めるのがおすすめです。
糖質を控える食事と国の基準・学会の考え方の違いは、「脂質は悪」って本当?山田悟さんの『脂質起動』をわかりやすく解説!でも詳しくお伝えしています。
健康診断のコレステロールの見方は、脂質異常症とは?健康診断の結果を放置してはいけない理由と改善のメカニズムをご覧ください。
アップルフィット倉敷では、完全個室で、経験豊富な女性トレーナーがマンツーマンで指導しています。
体成分測定で筋肉量や体脂肪の変化を確認しながら、普段の食事内容をうかがい、無理なく続けられる食事と運動の組み立て方をご提案します。
「ケトジェニックに興味があるけれど、自分に合うか不安」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。
参考資料
Bueno NB, et al.「Very-low-carbohydrate ketogenic diet v. low-fat diet for long-term weight loss: a meta-analysis of randomised controlled trials」British Journal of Nutrition(2013年)https://www.cambridge.org/core/journals/british-journal-of-nutrition/article/verylowcarbohydrate-ketogenic-diet-v-lowfat-diet-for-longterm-weight-loss-a-metaanalysis-of-randomised-controlled-trials/6FD9F975BAFF1D46F84C8BA9CE860783
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(2024年)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」CQ・ステートメント・推奨グレード一覧(2024年)https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/00_07.pdf
日本糖尿病学会「糖尿病治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」(2022年改訂)https://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=48
糖尿病情報センター(国立健康危機管理研究機構)「糖尿病の急性合併症のはなし」https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/060/010/01.html
厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満・メタボリックシンドローム予防の食事」(2025年)https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-02-009.html
