
以前、脂質の「減らしすぎ」は逆効果?健康と美しさを守る「良質な油」の選び方というコラムを投稿しましたが、今回は油の摂取バランスについてお話しします。
「オメガ3」「オメガ6」という言葉を聞いたことはありますか。
この2つは体に欠かせない油ですが、体内で合成できないため、食事から摂る必要があります。
何から摂れるかは、下の図をご覧ください。

図のとおり、オメガ3は魚やえごま油、亜麻仁油、くるみに、オメガ6はサラダ油やコーン油、大豆油、そしてそれらを使った揚げ物やスナック菓子、マヨネーズなどに多く含まれています。
現代人はオメガ3が不足しがち
外食や加工食品、揚げ物、お菓子に使われる油の多くはオメガ6系です。
一方で、オメガ3の主な供給源である魚は、日本人の食卓から年々減っています。
水産白書によると、日本人1人あたりの食用魚介類の消費量は2001年度の40.2kgをピークに減り続け、2022年度には22.0kgとほぼ半分になりました。
2011年度以降は、魚介類の消費量が肉類を下回っています。
オメガ6を多く含む油は身近な食品に広く使われている一方で、オメガ3は意識しないと摂りにくい。
これが現代の食事の特徴です。
「比率」より「オメガ3が足りているか」
オメガ3とオメガ6は「理想の比率」で語られることがよくあります。
ただ、国の基準である厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、比率ではなく、それぞれの脂肪酸について1日の目安量が示されています。
オメガ6にも目安量が定められているとおり、オメガ6も体に必要な油です。
極端に避けるのではなく、オメガ3を目安量までしっかり摂ることを意識しましょう。
オメガ3(n-3系脂肪酸)の1日の目安量は、女性の場合、30〜49歳で1.7g、50〜64歳で1.9g、65〜74歳で2.0gです。
この目安量は、日本人が実際に摂っている量の中央値をもとに決められています。
つまり、魚をあまり食べない方は、目安量に届いていない可能性が高いということです。
オメガ3の働き|期待できることと、できないこと
オメガ3のうち、魚に多いEPA・DHAには、次のような働きが報告されています。
・血液中の中性脂肪を下げる:最もよく確認されている働きです。複数の研究をまとめた解析では、EPA・DHAを増やすと中性脂肪が約15%下がったと報告されています。医療でも、EPAなどを精製した医薬品が使われています。
・血液を固まりにくくする:特にEPAには、血栓をできにくくする働きがあると考えられています。
・脳の健康を支える:DHAは脳に届きやすい脂肪酸で、脳の機能の維持に関わると報告されています。
一方で、正直にお伝えしておきたいこともあります。
86件の試験、約16万人を対象にした大規模な解析では、EPA・DHAを増やしても、死亡や心臓・血管の病気全体を減らす効果は「ほとんどないか、ごくわずか」という結果でした。
また、魚をよく食べる人は心臓の病気で亡くなる人が少ないという報告がある一方で、サプリメントで同じ効果が得られるかははっきりしていません。
つまり、オメガ3は「飲めば病気にならない魔法の油」ではなく、「不足させないことが大切な栄養素」だと考えていただくのが正確です。
健康診断で中性脂肪を指摘された方にとって、魚を増やすことは食事でできる現実的な対策の一つです。
魚が苦手な方は、えごま油・亜麻仁油とサプリメント
このように、食事全体の栄養バランスだけでなく、油の摂取バランスも健康に影響します。
理想は、週に数回、魚を食べることです。
海外の研究のまとめでは、魚介類を週1〜4回食べる人は、ほとんど食べない人に比べて心臓の病気で亡くなる可能性が低いと報告されています。
食品成分表で100gあたりのオメガ3の量を見ると、さんまは約2.2g、いわしのかば焼き缶は約1.8g、塩ざけは約1.4g、さばの味噌煮缶は約1.1gです。
調理が面倒な方は、サバ缶やイワシ缶でも十分です。
とはいえ、魚が苦手な方もいらっしゃるでしょう。
その場合は、えごま油や亜麻仁油を1日小さじ1杯(約4g)、ドレッシングや納豆、味噌汁にかけて摂る方法があります。
えごま油は100gあたり約58gのオメガ3を含むため、小さじ1杯でも約2gを摂ることができます。
ただし、これらの油に含まれるオメガ3(α-リノレン酸)が体内でEPA・DHAに変わる割合はごく一部(報告では15%未満)にとどまるため、魚の完全な代わりにはなりません。
また、えごま油・亜麻仁油は酸化しやすいので、加熱調理には使わず、開封後は冷蔵庫で保管して早めに使い切ってください。
サプリメントで補うのも一つの方法です。
選ぶときはEPA・DHAの含有量が明記されたものを選び、開封後は早めに使い切りましょう。
なお、血液を固まりにくくする薬を服用中の方や、魚介類にアレルギーのある方は、オメガ3のサプリメントを始める前に必ず主治医にご相談ください。
今日からできる、油の見直し3つ
1. 週に数回、魚を食卓に(サバ缶・イワシ缶でOK)。
2. 揚げ物とスナック菓子を「毎日」から「週2〜3回」に減らす。
3. サラダや納豆にえごま油・亜麻仁油を小さじ1杯。
「オメガ6を抜く」のではなく、「オメガ3を足して、揚げ物を少し減らす」。
これが無理なく続く見直し方です。
油の種類全体の選び方は、脂質の「減らしすぎ」は逆効果?健康と美しさを守る「良質な油」の選び方で、5大栄養素全体のバランスは5大栄養素の役割とは|40代からの体をつくる食事の基本でお伝えしています。
まずは食事のバランスを見直して、体の内側から健康になっていきましょう。
体を整えたら、筋肉を育てよう
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参考資料
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(2024年)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
水産庁「令和5年度 水産白書(2)水産物消費の状況」(2024年)https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/r05_h/trend/1/t1_1_2.html
Abdelhamid AS, et al.「Omega-3 fatty acids for the primary and secondary prevention of cardiovascular disease」Cochrane Database of Systematic Reviews(2020年)https://www.cochrane.org/evidence/CD003177_omega-3-intake-cardiovascular-disease
医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報「【第19回】魚油」(2024年)https://hfnet.nibn.go.jp/column/【第19回】魚油
厚生労働省 eJIM「オメガ3系脂肪酸」(2021年)https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c03/10.html
厚生労働省 eJIM「オメガ3脂肪酸について知っておくべき7つのこと」(2021年)https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/communication/c03/05.html
米国国立衛生研究所 栄養補助食品局「Omega-3 Fatty Acids: Fact Sheet for Health Professionals」https://ods.od.nih.gov/factsheets/Omega3FattyAcids-HealthProfessional/
