
「健康のためには1日1万歩」。
この言葉を信じて、毎日がんばって歩いてきた方も多いのではないでしょうか。
一方で、「1万歩なんてとても無理」と、最初からあきらめてしまう方もいるかもしれません。
実は近年、1万歩に届かなくても健康に役立つことを示す研究が増えています。
この記事では、40代以上の女性に知っておいていただきたい「歩数と健康」の今の考え方を、研究と国の指針をもとに分かりやすくお伝えします。
「1日1万歩」はどこから来た数字?
「1日1万歩」という目標は広く知られていますが、その由来ははっきりしていません。
アメリカの研究チームが2019年に発表した論文では、1965年に日本で発売された歩数計の商品名「万歩計」に由来する可能性が高いと述べられています。
つまり、1万歩という数字は、もともと健康への効果を確かめたうえで決められたものではなかったと考えられています。
同じ論文では、平均72歳のアメリカ人女性16,741人の歩数を測定し、平均4.3年間追跡しています。
その結果、1日の歩数が多いほど死亡率は低くなっていましたが、その差は1日約7,500歩あたりで頭打ちになっていました。
最新の研究でわかった「7,000歩」の意味
2025年には、シドニー大学の研究者らのチームが、歩数と健康に関する57件の研究をまとめた分析を医学誌「ランセット・パブリックヘルス」に発表しました。
この分析では、1日2,000歩の人と比べて、1日7,000歩の人には次のような傾向が見られました。
・全死亡(あらゆる原因による死亡)のリスクが47%低い
・心血管疾患の発症リスクが25%低い
・認知症のリスクが38%低い
・抑うつ症状のリスクが22%低い
・転倒のリスクが28%低い
また、死亡や心血管疾患、認知症、転倒については、1日5,000〜7,000歩あたりまでリスクが大きく下がり、そこから先は下がり方がゆるやかになっていました。
研究チームは、1万歩は活動的な人にとって引き続き良い目標になりうるとしたうえで、7,000歩は多くの人にとってより現実的で達成しやすい目標になりうるとまとめています。
ただし、これらは歩数と健康の「関連」を調べた研究で、歩けば必ずリスクが下がると証明されたわけではありません。
それでも、「1万歩に届かないなら意味がない」というわけではないことは、心強い知らせですね。
国の目安は「1日約8,000歩(60分)」
日本の指針も確認しておきましょう。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人に対して、歩行またはそれと同じくらい以上の強さの身体活動を1日60分以上行うことをすすめています。
これは1日約8,000歩以上に相当するとされています。
60分の歩行が約6,000歩、家事などの日常の動きが約2,000歩という計算です。
一方、令和元年の国民健康・栄養調査では、20歳以上の女性の1日の平均歩数は5,832歩でした。
まずは今の歩数を知り、そこから少しずつ増やしていくことが大切です。
同じガイドでは、1日あたり10分の身体活動を増やすことで、生活習慣病の発症や死亡のリスクが約3%下がると推測されています。
また、「20分以上続けないと効果がない」といった最低限の継続時間はなく、短い時間の積み重ねでも健康づくりに役立つとされています。
今日からできる、歩数を無理なく増やす工夫
いきなり大きな目標を立てるよりも、「今より10分多く動く」ことから始めるのがおすすめです。
・スマートフォンや歩数計で、まずは1週間の平均歩数を知る
・買い物では、入口から少し離れた場所に車を停める
・エレベーターやエスカレーターの代わりに、1〜2階分は階段を使う
・昼食後や夕食後に10分だけ散歩する
・テレビやデスクワークの合間に立ち上がり、座りっぱなしの時間を区切る
毎日の歩数が少しずつ増えていけば、それがやがて「当たり前の習慣」になります。
健康診断で「適度な運動を」と言われた方は、健康診断で「適度な運動」と言われたら?おすすめの運動習慣とHIITを紹介もあわせてご覧ください。
歩くことに筋トレを加えて、5年後も動ける体に
歩くことは手軽で続けやすい運動ですが、それだけでは筋力を保つのに十分とはいえません。
身体活動・運動ガイド2023でも、成人には筋力トレーニングを週2〜3日行うことがすすめられています。
年齢とともに筋肉の量や力が落ちていく状態は「サルコペニア」と呼ばれ、歩く速さや握力の低下が目安のひとつになります。
「最近、歩くのが遅くなった」「ペットボトルのふたが開けにくい」「つまずきやすくなった」と感じる方は、早めに体を動かす習慣を見直してみましょう。
気になる方は、まずはかかりつけの医師に相談してください。
くわしくは【40代から始める健康対策】サルコペニアとフレイルを予防する方法とは?で解説しています。
歩く前に気をつけたいこと
・ひざや腰に痛みがある方は、無理に歩数を増やさず、痛みの出ない範囲で行いましょう(「歩くのが億劫…」と感じたら。ひざの痛みと付き合う栄養と運動の基本も参考にしてください)
・持病がある方や、しばらく運動から離れていた方は、事前に主治医に相談しましょう
・暑い日は時間帯を選び、こまめに水分をとりましょう
アップルフィット倉敷は、完全個室のマンツーマンで、経験豊富な女性トレーナーが5名在籍しているパーソナルトレーニングジムです。
歩き方や姿勢のチェックから、ご自身の体力に合わせた筋力トレーニングまで、一人ひとりに合わせてサポートします。
「何から始めればいいか分からない」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。
完璧を目指すより、続けること。
今日の少しの遠回りが、5年後、10年後も自分の足で歩ける体につながります。
参考資料
Ding D, et al.「Daily steps and health outcomes in adults: a systematic review and dose-response meta-analysis」Lancet Public Health(2025)https://www.thelancet.com/journals/lanpub/article/PIIS2468-2667(25)00164-1/fulltext
Lee IM, et al.「Association of Step Volume and Intensity With All-Cause Mortality in Older Women」JAMA Internal Medicine(2019)https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2734709
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 推奨事項(成人版)」(2024)https://www.mhlw.go.jp/content/001195866.pdf
健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)「サルコペニアの診断」(2023年更新)https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/sarcopenia-shindan.html
