
「テストステロン」と聞くと、筋肉質な男性をイメージする方が多いかもしれません。
でも実は、テストステロンは女性の体にもあるホルモンです。
最近は「女性もテストステロンを増やせば元気になる」「筋トレでホルモンを出して若々しく」といった情報を目にすることも増えました。
では、実際にはどこまでわかっているのでしょうか。
今回は、女性とテストステロンについて、国際的な医学団体の声明や厚生労働省の情報をもとに、わかっていることと、まだわかっていないことを整理します。
そのうえで、40代・50代からの体づくりで本当に大切にしたいことをお伝えします。
テストステロンは女性の体にもあるホルモン
テストステロンは「男性ホルモン」と呼ばれますが、女性の体の中にも存在し、さまざまな組織で働いています。
体の中では、テストステロンがそのまま働くだけでなく、一部は女性ホルモンのエストロゲンに変換されて働くこともあります。
国際閉経学会や米国内分泌学会など多くの医学団体が承認した2019年の国際的な声明によると、女性のテストステロン濃度は、出産可能な年代のうちに少しずつ低下していくとされています。
一方で、65歳を過ぎてもある程度は保たれているようですが、それが体にとってどんな意味を持つのかは、まだわかっていません。
テストステロンを補えば元気になる?わかっていること、いないこと
「テストステロンが減ると、疲れやすくなったり、気力が落ちたりするのでは」と考える方もいるかもしれません。
同じ国際的な声明では、閉経後の女性にテストステロンを補う治療について、これまでの研究を整理しています。
その結果は、次のとおりです。
・気分の落ち込みや、全般的な気分のよさ(ウェルビーイング)への効果は示されていない
・骨密度への効果は示されていない
・筋肉量、体脂肪、筋力への効果は示されていない
・認知機能を高める根拠は不十分
そして、女性へのテストステロン治療で根拠がはっきりしているのは、閉経後の女性の性欲低下(医師の診断があるもの)に限られると結論づけています。
つまり、「疲れやすい」「やる気が出ない」「体が引き締まらない」といった悩みを、テストステロンだけで説明したり、ホルモンを補って解決したりできるわけではないのです。
40代・50代の不調は、まず更年期を知ることから
40代・50代の女性が感じる体や心の変化には、更年期が深く関わっていることがあります。
厚生労働省の情報サイトによると、更年期は閉経の前後約5年ずつ、あわせて10年くらいの時期で、日本人の平均閉経年齢は50.5歳です。
卵巣の働きが低下し、女性ホルモン(エストロゲン)が減ることが主な原因とされ、次のような症状が現れることがあります。
・疲れやすい
・肩こり、腰痛、手足の痛み
・汗をかきやすい、手足が冷えやすい
・イライラしやすい
・寝つきが悪い、眠りが浅い
症状の出方や程度は、人によって大きく異なります。
更年期症状のうち、生活に支障が出るものを「更年期障害」といいます。
つらいときは我慢せず、婦人科に相談しましょう。
治療によって症状が改善されることがほとんどで、ホルモン補充療法や漢方治療などの方法があります。
「これも更年期かな」と思う症状が、別の病気によるものではないかを確かめる意味でも、早めの受診が安心です。
40代からの筋トレに期待できること
では、テストステロンに頼らず、40代・50代の体を元気に保つにはどうすればよいのでしょうか。
その答えのひとつが、筋力トレーニングです。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、筋トレによって筋力、身体機能、骨密度が改善し、高齢者では転倒や骨折のリスクが下がることが示されています。
さらに、筋トレをしている人は、していない人に比べて、死亡や心血管疾患、がん、糖尿病のリスクが10〜17%低いと報告されています。
ガイドでは、成人と高齢者に筋トレを週2〜3日行うことをすすめています。
また、筋トレを実施している人の割合は女性で低い傾向にあり、女性は骨粗鬆症などを発症しやすいことから、筋トレを積極的にすすめていく必要があるとしています。
筋トレというと重いバーベルを想像しがちですが、スクワットや腕立て伏せのような自分の体重を使う運動も含まれます。
胸、背中、腕、お腹、お尻、脚などの大きな筋肉を全身まんべんなく使い、少しずつ負荷を高めていくこと、そしてしっかり休む日をとることが大切です。
筋肉は、年齢に関係なく鍛えることができます。
月経周期や体調に合わせて、無理なく続ける
「生理の時期によって、トレーニングを変えたほうがいいの?」という質問をいただくことがあります。
月経周期によって、体調や気分が変わる方は少なくありません。
ただ、時期ごとに「この時期は筋トレ向き」と一律に決められるほどの根拠はまだ十分ではなく、感じ方にも個人差があります。
大切なのは、周期にとらわれすぎず、その日の体調に合わせて強さや内容を調整しながら、続けることです。
月経痛やPMSがつらい、月経が乱れているといった場合は、婦人科に相談しましょう。
女性ホルモンと体の変化については、痩せにくい時期はなぜ起こる?女性ホルモンとダイエットの関係をわかりやすく解説でも紹介しています。
更年期世代の体づくりについては、パーソナルジムが更年期世代の身体機能を守る理由もあわせてご覧ください。
一人ひとりの体に合わせた体づくりを
ホルモンの変化は、誰にでも訪れる自然なものです。
大切なのは、ホルモンの数字に一喜一憂するのではなく、つらい症状は医療機関に相談し、毎日の体づくりは無理のない運動と食事で積み重ねていくことです。
アップルフィット倉敷でトレーニングを続けているお客様からも、「日々の疲れにくさや、気持ちの前向きさが変わってきた」という嬉しい声をいただいています。
アップルフィット倉敷では、完全個室で、経験豊富な女性トレーナーがマンツーマンで指導しています。
体力や体調、その日のコンディションに合わせて負荷を調整しながら、5年後、10年後も元気に動ける体づくりをサポートします。
「更年期の体の変化が気になる」「運動を始めたいけれど、何から始めればいいかわからない」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。
参考資料
Davis SR, et al.「Global Consensus Position Statement on the Use of Testosterone Therapy for Women」J Clin Endocrinol Metab 104: 4660-4666(2019年)https://flore.unifi.it/retrieve/e398c37e-cacf-179a-e053-3705fe0a4cff/JCEM%2c%202019.pdf
厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト「更年期」https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/menopause.html
厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト「女性ホルモンとライフステージ」https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/lifestage.html
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」筋力トレーニングについて(2024年)https://www.mhlw.go.jp/content/001195869.pdf
